我家にある2種類の「クリスマスローズ」の一つ・・・優しい色合いの花に、ほっと出来る。
4月2日の事。
3月で運転免許返上する(と、思っていた)友人から、電話が来た。
先日、返上祝としてバラの花束を送って置いたので、そのお礼かな?と思っていたところ、「今日が最終日なので、思いっきり走りたいから、ドライブに行こう」と言うのである。
私としては、その最終日に事故ったら、こんな悲しく悔しいことは無いでしょうに・・・と思うが、一方で、きっと忘れ難い最終日のドライブに、私を誘ってくれた友人の気持ちを察し、良い日にしてあげたいと思うと共に、何故か嬉しかった。
午前10時半に落ち合い、中伊豆から西伊豆を目的もなくただ走り、今まで友人と、何度か一緒に行った魚料理店で昼食、2人共がお気に入りである喫茶店で珈琲を味わい、そこここの桜前線模様(枝垂れ桜は良い加減だったが、染井吉野は開花宣言したばかりの風情で・・・)を眺めるという5時間程のドライブを満喫した。
でも、何より有意義だったのは、友人に連れられて、あちこちに出掛けたあれこれの体験話を心行くまで出来た事だったと思う。
私より一回り先輩な友人は、若い頃は戦争中、戦後は子育て、その後会社の役員として一心に尽くしてきた人だったので、自由に遊ぶ(主に旅である)ようになったのは退職後(60代後半?だったような)だった。
そんな旅に、何時も声をかけてくれたお陰で、私も、様々な街を見る事が出来た。
しかしながら、感動の極めて薄い私は、その旅の中身を、よく覚えていないのだ。
友人は、話を聞いても、さっぱり反応の無い私に、「あなたとしか行かないと思うよ」と言うけれど、時折、勘違いしているなと思う事もあった。
でも、友人の旅の思い出に、間違っていたとしても、「何時も私が居る」ということの有難さも感じていたのだ。
今回の記念すべきドライブの最中に、あれこれと思い出を語りながら、もう、楽しみは終わったという友人に、「車のある時には気づかなかった楽しみが、車に囚われなくなった時、きっと、見えてくると思う。その時には、車無し旅の先輩としてお供するからね」と伝えた。
我家に近くで車を降りる時、「今日は楽しめたよ、ありがとう」という友人に、心の内で「自宅に戻るまで事故のないように気を付けて・・・有終の美であって欲しい」と、そっと願った。