荒海や 佐渡によこたふ天の川
ちょうど、嵐の後の夜。
暗い海は、まだ鎮まりきることはない。
日本海の潮騒が、激しくこだまする。
黒い海が海であることが分かるのは、佐渡島の存在。
天には、天の川がきらめく。
空には、星の洪水。
旧暦の七夕に詠んだのだろうと考察されている、芭蕉の句。
日本人は、月の姿に心動かされても、星を風流にめでることは少なかったようだ。
その中において、傑出する天の川の俳句。
奥の細道の旅は、出羽の国から越後へ進み、出雲崎辺りであったか、と。
しかし、異論も多いこの句に、天体写真家の橋本武彦さんは、星を撮る立場から取り組んでみた。
日本海の向こうに佐渡島を見ると、天の川の位置が逆なんですよ。
それは困った。
風景を、着実に写し取った芭蕉が、魔がさしたのか?
それがね、佐渡へ渡ってみると、佐渡島と天の川と海の風景があるんです。
おお!!
佐渡は佐和田という町から、まさしく芭蕉の句どおりの景色が見えるというのか。
しかし、当時幕府直轄の金山を有する佐渡へは、なかなか渡れなかったはず。
忍者だったという説がありますよね。
あは、ありますな。。。。芭蕉は、密偵のために全国を行脚した、と。
だとしたら、可能なんじゃないか、と。
いやあ。。。話としては面白いです。
前に行った時、句碑も確認しているので、とにかく、撮りに行ってみよう、と。
橋本さんは、、そうして旅の人になったのである。
しかも、その「前に」と言うのは、17年前らしい。
まったく、研究家の時間の感覚というのは、いまのご時世と別のところにある。
その仮説がどうであれ、橋本さんの手によって芭蕉の句が映像になるとしたら、
実に、胸躍るじゃないか。
天体写真家がデジタルで、芭蕉の目を再現する。
これは、待ち遠しい。
大体、芭蕉の随行はソラだったし。。。。
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