なみなみ

泣きたい気持ちが溢れそうだ。
コップになみなみに注がれた水みたい。
そういえば、あれはある意味失恋だったのに、
うちはちっとも泣いてないんだ。

泣く理由がない。

だって悲しい別れではなかったし、
そうなってよかったのだと思うし、
大切なコトバをたくさんもらった。
２人が前に進むために、和解したんだ。

泣く必要は、全然ないんだよ？

なのに、どうして泣きたくなるんだろう。
うちの心はわがままだ。
まだ少し頭と気持ちが追いついていないのかも。
時が経つにつれて、実感が沸いてくるから？
わからないけど、それでも泣きたい。

思いっきり泣いてしまえばいい。

泣ければいい。
すっきりするのに。泣くとストレス発散になるんだって。
なのに、泣けないんだよね。
ぎりぎりのところで、泪が出てこない。

ああ、まただ。

前もこんなだったな。
泣きたいくらい、つらかったり、しんどかったり、
さみしいのに、泣けないの。
弘樹の前でしか、泣けなかった。
なんかあったわけじゃないのに、弘樹のとこだと簡単に泣けた。
おかしいなあ。

泣き場所だった。

それから泣き場所はあの人になった。
いっぱい泣いた。泣かされた？どっちだろ(笑)？
意味もなく泣いたりはしなかった気がする。
それはできなかったなあ。
でもほんとに思いっきり泣けたのは、あの人の方だった。

子供みたいだってさ。

うちが本気で泣いたら、子供みたいだって。
いつかまた、そんなふうに泣ける人に出逢えるのかなあ。
そうだといいな。

ねえ、近くにいなくてよかったよ。
泣きたくなったときに、会えるくらいの距離だったら、
きっとうちは・・・。

金木犀の、においがした。

このにおいは、いつも胸が痛くなる。
ああ、原因はこれかもね。
このにおいでいろんなことを思い出して、
泣きたくなるのだろう。

これから最盛期じゃないかー。
泣くの、どれだけ我慢できるだろ。