今日、こんなセミナーがオンラインであったんです。主催はゾエティス。内容は、蹄病に対する削蹄のアプローチが主だった、と考えていいのかな?
聴きつつ暗澹とする。ど汚い蹄を洗浄も消毒もせず、消毒もしない道具でいきなり削蹄して、手袋してるとは言え、既に汚染部位に触っちゃってる手で削蹄箇所をいじって、出血するほど過削しちゃった蹄を、しょーもない包帯のみで、ど汚い牛舎の床の上に戻すという。
こんな一連の作業、医療の基本から完全に外れてるじゃないですか。
そもそも、削蹄を治療と考えるべきではない。何のために削蹄するわけ?「病変部位を除去するため」というが、除去してどうするの?意味が分からん。
これは、虫歯治療を考えれば分かる。というか、日本の歯科治療ね。完全に世界から一回り以上遅れているのが、日本の歯医者。虫歯があります。ドリルかなんかで虫歯を削ります。削った箇所に銀だのセラミックだのを埋め込みます。そうすっと、5年後くらいには、埋めた下の部位に虫歯が発生します。埋めた奴がそのせいでぐらぐらして取れちゃったりするもんだから、まーた同じことを繰り返します。そうこうしてると、歯がなくなっちゃうもんで、じゃあ、インプラントでもします?歯医者大儲けの図式がいっちょ上がり、というね。
これ、虫歯を削る時点で、既にドリルが汚染されてるわけじゃない、だから、ほじった箇所って、既に道具経由で虫歯菌が埋め込まれてるんだよ。ちょこっとその後消毒するくらいで菌が死滅するはずなし。そもそも、消毒してましたっけ?虫歯ができて当然なのさ、埋めた下に。
こんなの治療とは言えないでしょ。
同じことを蹄病でやってるってわけだ。バカらしい。治るはずなし。
もう一つは、原因にアプローチできてないじゃんかよ、って事。削蹄ってのは、いうなれば「対症療法」に過ぎない。「原因」にアプローチできなければ、蹄病は繰り返される、に決まってる。
視聴しつつ、あーあと思い出したのは、「産褥熱」。19世紀頃、まーだ細菌も発見されてない頃、ヨーロッパの産科病院でお産すると、その後産褥熱にかかって亡くなる方がすごく多かった。イグナッツ・ゼンメルワイスという方がそれに気づいて、あれこれ検証した結果、「手を消毒してないからじゃないか」と気が付いた。で、医者共にさらし粉(次亜塩素酸カルシウム)で手洗いさせてみたら、産褥熱の発生が、劇的に減少した、という話。ゼンメルワイツ博士は「公衆衛生の父」と呼ばれてるんだ。
ところが、当時、これが医者から猛反発を食ったんだ。奴らのくだらないプライドに引っかかったんでしょうか。そのせいで、特にドイツでは、何千人という女性がむざむざ死に至った。産褥熱を大問題と認識してなかった医者共のせいだ。
今現在、大動物の医療現場で同じ事が起きている。大動物獣医は恥ずかしくないのか?阿部先生、どうお考えですか?一介の小動物獣医なんぞにこんなこと書かれて、腹立たないの?