一週間ほど前のブログ「優雅な暮らし方~クラシック音楽」の中の一節をまだご記憶だろうか?
「芥川比呂志」氏のエッセイから
「優雅についてあれこれと論じるのは、どうもあまり優雅なことではないような気がする。
やさしく気品があって、しとやかで、美しいだけでは優雅とはいえない。
言葉づかい、立ち居振る舞い、生活のあらゆる面にわたって世俗の気を帯びず、前代の良い慣習や遺風をごく自然に身をつけている人でなくては、優雅な人とはいえない。すなわち優雅は、風流や伝統と切り離せない。
したがって、優雅は、人間ばなれや時代ばなれを起こし易い。優雅は薄気味悪さや滑稽と紙一重であり、鼻持ちならぬ嫌味とぴったり背中を合わせている。
イギリス人にとって優雅な狩猟とはたとえば次のようなものだ。
友人としかるべき話題(政治や宗教、とりわけ狩猟を除く)について、楽しいおしゃべりをしながら、ゆっくり歩いていく。
「今度のオリヴィエのシャイロックは少し悲劇的すぎやしないかい?」
「そう。しかし思い切って現代風にしたところがなかなか面白かったじゃないか」と、茂みから鳥が飛び立つ。それを横目で見ながら、平然と会話を続ける。(ここが大切)
「まあ、悪くはないがね」
それから素早く銃を構え、射程距離に逃れようとする寸前の鳥に向けて、引き金を引く。(この行動は一瞬のうちに行われなければならぬ。ここも大切)、再び会話をつづけながら、またゆっくりと歩き出す。
ある成果を上げるために費やした努力を、できるだけ隠し、人に感じさせぬこと。優雅はいつも涼しい顔をしていなければならぬ。」
これに対して、該当地の南スコットランド在住のウマさんからお便りがありました。
「優雅はいつも涼しい顔」…
難しいですよねえ、これ。
うちの近くを流れるニス河はサーモン釣りのメッカです。
ある時、川辺のベンチに腰掛け「優雅」にビールを呑んでいた。
遠くに釣り人が一人…
よく見ていると、キャッチ&リリースしてるんです。優雅だなあ。
そして、一匹だけ抱えてこっちに来られた。
彼の服装を見てびっくり…
腰まである長靴はわかるけど、なんとネクタイを着用しておられる。
う〜ん、唸ってしまった。
サーモンに敬意を表してるんですね。優雅だなあ…」
以上ですが、日本でいえばネクタイをして川釣りをするようなものですか~。そういう方を「テレビ」番組でさえもまだ一度も見たことがない!
しかも、キャッチ&リリースして1匹だけ確保というのが素晴らしい。
ブログ主も青壮年の頃に海釣り、川釣りに興じたが、そういう心境には程遠かった。
貪欲に1匹でも余計に釣ってやろう・・、よって、優雅さとは程遠い人間であることがよく分かりました(笑)。
で、「優雅」の反対語は「粗野」だそうです。
関連して、昔「粗にして野だが卑ではない(言動が雑で粗暴であっても、決して卑しい行いや態度をとらない)」 と言った人が居ましたね・・、たしか、「石田礼助」氏(当時の国鉄総裁)だったと思う。
まあ、卑でなければ良しとさせてもらおう・・、しかしせめてオーディオぐらいは「優雅な音」を出したいものですねえ(笑)。