前々回のブログ「粗にして野だが卑ではない」は、なんと12月に入ってから最高のアクセス数でした。まったく予想外だったが、はたして、記事のどこが読者に受けたのか・・、定かではないけれど一部引用させていただいた「ウマさん」にまずは感謝です。
で、文中でとても優雅な人間にはなれないけれど「せめてオーディオだけは優雅な音を出したい」と、末尾に記載していたのをご記憶だろうか。
さっそく、有言実行といきましょうや(笑)。
で、今回は、ただひたすら「優雅」という視点に絞っての取り組みとなります。したがって、オーディオ機器についての過去記事の寸評とはまるっきり様相が違ってくるので、どうか(ブログ主を)「日和見主義」だと軽蔑しないようにねえ・・、まずは始めに慎重に予防線を張っておくとしよう(笑)。
ただし、その前に「優雅な音って何?」に言及しておかないと片手落ちというものだろう~。
で、別に定義はないと思っている、一言でいえば「優雅だなあ・・」と、リスナーが感じる音がそうだと言える。いわば、オーディオ愛好家の数だけ「優雅な音」がある。
結局、個人の主観に左右される話なので、正答はないし、誤答もない・・、そういう前提の下で「思ったまま」を率直に記してみよう。
さて、実際に(我が家の)6系統のシステムから、消去法でまず「優雅ではない音」を除去してみると、最初に該当するのが「JBL」の2ウェイシステムである。
周波数帯域の主な部分に金属のダイヤフラムを使ったホーンを使うと、何だかヒンヤリとした肌触りを感じてしまう。言い換えると、クラシック音楽への情熱に冷や水を かけるような覚醒的な音ともいえる。
そんなことなら、「お前はなぜ購入して使うんだ!」と、厳しい野次が飛んできそうだが、若気の至りというか・・、実際に使い、聴いてみないと分からないことだらけである、オーディオは・・。
というわけで、このシステムは気分転換にはときどき聴くのもいいが長く付き合う音ではない、と今回の「優雅な音」へのアプローチで思った次第~。何せ気分屋だし無法地帯だから、いつ覆るか分からないけどね~(笑)。
で、その流れで行くと、この音も「優雅」には程遠かった。
600ヘルツ以上をマルチセルラーホーンに任せているが、似たり寄ったりで言及の価値無し。
そこで、ホーンを入れ替えてフルレンジ「スーパー10」で聴いてみた。
強力な赤帯マグネットに期待したんだけど、幾分「優雅」にはなったが、得心のいくものではなかった。これではどう頑張っても「優雅の域」には手が届きそうにない。ユニットのコーン紙が厚くて重たすぎる気がするが、もしかして鳴らし込みが足りないのかもしれない。
そこでアッサリ方向転換して「PL100」(英国:モニターオーディオ)を設置してみた。久しぶりの出番である。
メーカーの仕様はクロスオーバーが「2800ヘルツ」で、中高音域は「リボン」型式である。インピーダンスが4Ωで、能率が88dbだから明らかに高出力の「TRアンプ」の活用を想定した2ウェイスピ―カーである。
実はこれまで散々手こずってきて、改造しようにも全く手を付ける箇所が無いし、どうしても気に入るように鳴ってくれない曰くつきの問題児である(笑)。
今回は駆動するアンプに随分工夫した。忘れないように記録しておこう。
<中低音域(2800ヘルツ以下)>
DAC「エルガー プラス」(バランスアウトを利用して変換ケーブル使用) → プリアンプ「E80CC×2」 → パワーアンプ「TRアンプ」
<中高音域(2800ヘルツ以上)>
DAC「エルガー プラス」(RCAアウト) → プリアンプ「12AU7×2」 → パワーアンプ「WE300Bシングル」(モノ×2台)
つまり、プリアンプ2台、パワーアンプ2台を動員したところに特徴がある。
ハラハラ ドキドキ ワクワク・・・しながら耳を澄ますと、椅子から転げ落ちんばかりに驚いた!
何という「優雅な音」なんだろう・・、さすがに英国発のスピーカーである。小口径のユニットによる音源のシャープさがメチャ利いていて醸し出される上品なハーモニーが実に美しい。
眼を瞑って聴いていると、小さな図体から出てくる音とはとても思えない、そしてスピーカーの存在を忘れていつの間にか音楽に聴き耽っている!
ユニットの低負荷、低能率をものともしない「WE300B」シングルアンプの能力全開といったところだが、アンプが良くなればなるほど本領を発揮するとは、さすがに、発売当時の定価が「50万円」だったスピーカーだけのことはありますな。
「優雅さ」だけでいけば「AXIOM80」が100点満点とすれば、95点はいくと思う。この5点の差は「音響空間に微かに漂う余韻」の差に求められるが、これだけのレベルに達すれば言うことなし!
気紛れで、たまたま「優雅な音」を追い求めた結果、思わぬ拾い物が出現したのはありがたい限り。
オーディオ・サウンドに何を求めるか・・、ときどき思い切ってガラリと視点を変えることも必要な気がします。