「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

WE300B真空管の欠点について

2024年12月01日 | オーディオ談義

今日からこの1年を締めくくる「師走」です。その名の由来となると、「語源説」として9個あるが、そのうち代表的なもの3個を挙げると、

1 経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月であるところから、シハセ(師馳)の義〔奥義抄・名語記・〓嚢鈔〕。

2 四季の果てる月であるところから、シハツ(四極)月の意〔志不可起・和爾雅・日本釈名〕。

3 トシハツル(歳極・年果・歳終)の義〔東雅・語意考・類聚名物考・和語私臆鈔・黄昏随筆・古今要覧稿・和訓栞〕。

さて、前々回のブログ「我が家のベスト1はこれだ!」の中で記載していたこの文章をご記憶だろうか。

「北国の真空管博士」曰く・・、

「300Bという球にはプレートの大きさ故に欠点があります、それは・・・です。したがって前段管に何を使うかが非常に重要になります。あなたのアンプに使っているエジソンマツダのSP〇〇はそういう意味で理想的な前段管です。この球で300Bを駆動しているのは世界中であなたのアンプだけですよ」

(・・・の内容が知りたい方はメールください)

どうせ興味のない人が大半だろうと高を括っていたら、なんと北海道のMさんをはじめ想像以上の方々からメールが寄せられました。

今さらながら、稀代の名管とされる「WE300B」に対する関心度の高さに驚いた次第~。

メールの内容については、「単なる興味」から「天下の名管にケチをつけるとは何事か!」といったニュアンスまで様々でした(笑)。

本来なら個別に対応するのがマナーですが、あまりに多かったのでこのブログで一括回答という形にさせてください・・、よろしく~。

それでは、博士の見解を公開しておきます。

「300Bの欠点は電極間(特にグリットとプレートの間)に静電容量が大きいことです。

真空管は不思議なデバイスで、グリットとカソード(フィラメント)との間に加えられた信号を増幅してプレートとカソードの間に出力するのは基本中の基本なのですが、なんと電極間の静電容量も増幅するのです。

実際にはグリットとプレートの間の静電容量を増幅してグリットとカソードの間に出力してます。

これを入力容量と呼び、Cin=Cg-k+(Cg-p×A)の計算式で算出します。

Cg-k=グリッドとカソード間の静電容量


Cg-p=グリットとプレート間の静電容量

A=増幅率(真空管を回路に実装した場合μ×0.7程度になる)

私のこれまでの経験で言うと入力容量の小さい球ほど中高域の抜けが良いように感じます。

一般に知られた球で入力容量の小さいものとして171A、245、1枚プレートの2A3、250、VT52等があります。

一方入力容量の大きな球は、300B、2A3、6A3、PX25、DA30等です。

これら入力容量の大きな球の音質を改善するには大きな入力容量に負けないドライブ能力と増幅率の高さが必要です。


これらを両立する数少ない増幅管が「音楽&オーディオの小部屋」さんが使用されているSP〇〇なのです。

6SN7等のローμ三極管の2段増幅であれば増幅率とドライブ能力を両立できるのではと考えれる方も居られると思います。

増幅段数が増えれば増えるほど音の解像度は落ち中高域の抜けが悪くなりますから元々中高域の抜けの悪い入力容量の大きな球を2段増幅でドライブしたくはないのです。

310A等の五極管は増幅率は高いものの内部抵抗が高くこれまた落第です。

WEの91アンプに310Aが使われているのはNFBを20dB以上掛け中高域の抜けを改善する前提があるから成り立っているのです。

SP〇〇は80倍程度の増幅率と6SN7並みのドライブ能力を持つ類まれな存在なのです。」



というわけです。

で、この内容をスンナリ理解できる人ってどのくらいおられるんでしょう・・、真空管の構造まで精通していないと普通のアンプビルダーさんではちょっと無理かもですねえ(笑)。



ついでに、何故フィラメント電圧が異なる「WE300B」をこの「6A3」アンプに使用可能なのかについても博士の解説を追加しておきます。

「今回のアンプでは6A3のフィラメントに5.75Vほどの電圧が掛かっています。刻印時代のシルバニア製6A3は極めてエミッションが良好でフィラメントを5Vまで下げても動作します。

今回は音質劣化なく動作可能な5.75Vに設定しました。
フィラメントへの給電はブリッジダイオードで整流後3オームの抵抗と電解コンデンサーによるリップルフィルターを経ています。

このリップルフィルターに用いた3オームの抵抗が300Bを使用可能とする肝です。

6A3のフィラメントには0.9Aほどの電流が流れています。
(フィラメントの電圧を10%程度低く設定しているためフィラメント電流も10%程度減少する)
3オームを通過する前の電圧は8.45Vほどです。

この回路に300Bを挿した場合、3オームの抵抗で3.6Vほど消費しますので4.85V程度給電されます。つまり、6A3を挿した時には5.75V、300Bを挿した時には4.85Vが給電されるのです。

プレート電圧は250Vに設定してありますからどちらを挿しても規格オーバーになることはありません。」

ということでした。

こうまで配慮して緻密に組み立てられる真空管アンプの魅力について、
まだ理解されてない方が多いようで残念、おそらく「食わず嫌い」のはず・・、まあ要らん世話だけどね(笑)。

最後に、希少な前段管「SP〇〇」だけど、オークションにもまったく出てこない状況で、英国在住のマニアが数少ないストックを後生大事に保管しているそうです。

我が家では予備管として2本ゲットしたので計4本の保有になります。これだけあれば、(人生の)残り時間が切れるまで大丈夫だと思うんだけどなあ・・(笑)。



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