○金子勝、アンドリュー・デウィット、藤原帰一、宮台真司『不安の正体!:メディア政治とイラク戦後の世界』筑摩書房 2004.10
4人の著者は、いずれも私にとって親しい名前である。近年の著作は、よく読んできたし、ナマの対談や講演で聞きにいったこともある(一部には多少の面識もある)。それぞれ、異なる学問分野をバックグラウンドとし、少しずつ異なる主張の持ち主であるから、かなり刺激的で知的なコラボレーションを期待して本書を手に取った。
しかし、残念ながら、話題が広範囲に広がりすぎて(結果、盛り込みすぎのこのタイトルを見よ)散漫に流れた印象が否めない。喋っている4人は分かり合っていて面白いのかも知れないが、その面白さがいまいち伝わってこなかった。残念である。
そんな中で、印象に残った宮台真司の見解をひとつ挙げておこう。日本のネット・コミュニティが、諸外国のような公共性を獲得できず、「敷居の低い梯子外し」に終始している現状を憂い、「悪貨が良貨を駆逐しがちな電子掲示板の欠点」を批判しながら、これを補うアーキテクチャーとして「ブログ」に期待を寄せる。ただし、ブログの将来は「良貨がどれだけ存在するのか」にかかっているとも指摘している。
4人の著者は、いずれも私にとって親しい名前である。近年の著作は、よく読んできたし、ナマの対談や講演で聞きにいったこともある(一部には多少の面識もある)。それぞれ、異なる学問分野をバックグラウンドとし、少しずつ異なる主張の持ち主であるから、かなり刺激的で知的なコラボレーションを期待して本書を手に取った。
しかし、残念ながら、話題が広範囲に広がりすぎて(結果、盛り込みすぎのこのタイトルを見よ)散漫に流れた印象が否めない。喋っている4人は分かり合っていて面白いのかも知れないが、その面白さがいまいち伝わってこなかった。残念である。
そんな中で、印象に残った宮台真司の見解をひとつ挙げておこう。日本のネット・コミュニティが、諸外国のような公共性を獲得できず、「敷居の低い梯子外し」に終始している現状を憂い、「悪貨が良貨を駆逐しがちな電子掲示板の欠点」を批判しながら、これを補うアーキテクチャーとして「ブログ」に期待を寄せる。ただし、ブログの将来は「良貨がどれだけ存在するのか」にかかっているとも指摘している。