○京都国立博物館(平常展示)・中国絵画
http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html
(展示詳細は10月版に更新済)
2階に上がると、いつものように書蹟の部屋を通り抜け、中国絵画の部屋に向かう。角を曲がって、息を呑んだ。左右の展示ケースが、天井いっぱいまで、輝く金色で満たされている。18世紀、清・康煕年間の『楼閣山水図屏風』。画像は、あえて一般向けの「収蔵品データベース」ではなく、子ども向けの「博物館ディクショナリー」にリンクを貼っておこう。かなり縦長の八曲一双屏風で、さらに黒地に金の透かし彫りの入った「足」で底上げされているため、高さは3メートルを超え、中国の(大商人の)大邸宅を彷彿とさせる。
よく見ると、それぞれ画風が異なる。私は袁江筆の夏景のほうが好きだ。中唐の宰相、裴度が洛陽の南に構えた別荘、緑野堂の様子を写したものというから、広々とした水面は伊河(龍門石窟のあるところ)だろうか。蜃気楼のような巨大な岩山が宙に浮かぶ。下界では、淡々と繰り広げられる庶民の生活。ぼんやり門口に座り込んだ老翁。幼子に乳を含ませる母親。遠景には烽火(のろし)が上がっている。
今期の見どころの随一は、国宝『官女図』(元代、伝銭選筆)であろう。赤い官服の腰に横笛を挟み、男装した官女を描いた小品。唐代の風俗である。豊かな腰まわり、低く締めた石帯は、若い男性そのままだが、小指の先を見つめる神経質な仕草に女らしさがこぼれる。
その隣りは、水墨画の『栗鼠図』。画面右下のザクロをねらう3匹のリス。分解アニメーションのようだ。ふわふわの毛、つぶらな瞳、小さな指爪が、悶絶するほど愛らしい。作者の松田は、元代の栗鼠描きの名手として、室町時代の美術書にも載っているそうだ。検索してみたら、今週から始まった東博の特集陳列『中国書画精華』にも出品されているらしい。それじゃ、近いうちにまた上野で会えるかも。
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(展示詳細は10月版に更新済)
2階に上がると、いつものように書蹟の部屋を通り抜け、中国絵画の部屋に向かう。角を曲がって、息を呑んだ。左右の展示ケースが、天井いっぱいまで、輝く金色で満たされている。18世紀、清・康煕年間の『楼閣山水図屏風』。画像は、あえて一般向けの「収蔵品データベース」ではなく、子ども向けの「博物館ディクショナリー」にリンクを貼っておこう。かなり縦長の八曲一双屏風で、さらに黒地に金の透かし彫りの入った「足」で底上げされているため、高さは3メートルを超え、中国の(大商人の)大邸宅を彷彿とさせる。
よく見ると、それぞれ画風が異なる。私は袁江筆の夏景のほうが好きだ。中唐の宰相、裴度が洛陽の南に構えた別荘、緑野堂の様子を写したものというから、広々とした水面は伊河(龍門石窟のあるところ)だろうか。蜃気楼のような巨大な岩山が宙に浮かぶ。下界では、淡々と繰り広げられる庶民の生活。ぼんやり門口に座り込んだ老翁。幼子に乳を含ませる母親。遠景には烽火(のろし)が上がっている。
今期の見どころの随一は、国宝『官女図』(元代、伝銭選筆)であろう。赤い官服の腰に横笛を挟み、男装した官女を描いた小品。唐代の風俗である。豊かな腰まわり、低く締めた石帯は、若い男性そのままだが、小指の先を見つめる神経質な仕草に女らしさがこぼれる。
その隣りは、水墨画の『栗鼠図』。画面右下のザクロをねらう3匹のリス。分解アニメーションのようだ。ふわふわの毛、つぶらな瞳、小さな指爪が、悶絶するほど愛らしい。作者の松田は、元代の栗鼠描きの名手として、室町時代の美術書にも載っているそうだ。検索してみたら、今週から始まった東博の特集陳列『中国書画精華』にも出品されているらしい。それじゃ、近いうちにまた上野で会えるかも。