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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

お花見のついでに/常設展(鎌倉国宝館)

2008-04-11 22:54:27 | 行ったもの(美術館・見仏)
○鎌倉国宝館 常設展

http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kokuhoukan/index.htm

 お花見のついでに鎌倉国宝館に寄った。逗子に住んでいたときから、通い慣れた喫茶店みたいなもので、常設展も特別展も、だいたい見尽くしていると分かっていても、ちょっと覗きたくなってしまう。

 まず、英勝寺蔵『龍虎図屏風』が目を引いた。金地墨筆の六曲一双屏風。片や黒雲の中に身を沈めた龍、片や咆哮する虎が描かれている。なかなか、カッコよくていい。会場のキャプションには、作者は狩野派の誰とかあったと思うが、ウェブの展示品リストには作者名が載っていない。ずるい。報国寺蔵『花鳥図』2点は、明代絵画らしい朗らかな色彩。

 ほかに、円覚寺と建長寺の羅漢図、寺社絵図、絵巻物と、バラエティに富んだ絵画資料を楽しんだが、驚いたのは、英勝寺蔵『大黒の舞い』という、初めて見る絵巻。どこかの拝殿の前で、裸に錦のふんどしを付けた大男が2人、舞いを舞っているとも、相撲を取っているともつかぬ格好で組み合っている。体の色が灰色っぽくて、なんとも奇怪な図像である。

 「大黒舞」を調べてみたら、今も各地の郷土芸能に残っており、恵比寿・大黒のペアに扮して踊ることが多いようだ。の行う門付芸でもあったようである。さらに国文学研究資料館のサイトで、よく似た画像を見つけた。これは「大黒舞」というお伽草子を絵巻にしたものだという。でも、鎌倉国宝館で見た絵巻のほうが、あやしさが濃厚だったなあ、と思ったら、まさに英勝寺蔵の絵巻の影印(複製出版)を見つけた。勉誠社の「甦る絵巻・絵本」シリーズである。いいなあ、このシリーズ。まとめて読みたい(眺めたい)。

 彫刻では、これも濃厚にあやしい『歓喜天立像』が、いつもの壇上でなく、後半のガラスケースに展示されていた。象頭の男女二神が向き合う姿。目の高さに近いので、細部までよく観察することができる。女神が男神の片足を軽く踏んでいる。一説では、十一面観音が女神に変身し、捉えた悪神を逃さないよう、足先を踏んでいるのだそうだ。面白い。辻の薬師堂の『十二神将立像』は、だんだん国宝館展示が増えている気がする。向こうは寂しくないのだろうか。
コメント
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