見もの・読みもの日記

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古代中国の文物とともに/色絵の器(日本民藝館)

2017-07-17 21:58:42 | 行ったもの(美術館・見仏)
日本民藝館 特別展『色絵の器-天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-』(2017年6月27日~8月27日)

 明末に江西省の景徳鎮民窯で焼かれた天啓赤絵、福建省の漳(ショウ)州窯で焼かれた呉州赤絵、九州・肥前地方の伊万里焼を中心に色絵の器の魅力を紹介する展覧会。 私は、これら民窯の磁器が大好きなので、炎暑の中、がんばって見に行った。

 最初は2階の大展示室から。中央に小さな展示台があるだけという、空間の広さを感じさせるレイアウト。木製の展示ケースの間に拓本の軸が何枚か下がっているのが、面白い取り合わせだと思う。展示ケースには、まず中国の古染付が並ぶが、明代の『芦葉達磨文火入れ』、明末の『網文振出し』、清代の『色絵草花文水注』、どれもいい。手のひらになじむくらいの小品なのが、とってもいい。比較的大きな皿で、赤と緑の対比が美しい呉州赤絵(青呉州)の『仙境文皿』は、何度か見たことがあって好きな作品。その下の棚には後漢時代の印文塼が出ていて、めずらしかった。中央に二人の人物立像(夫婦?)を刻む。

 天啓赤絵はゆるい感じの人物文が並ぶ。羅漢、漁夫、周茂叔など、見ているだけで口元がゆるむ。いや花鳥文もゆるい。そして、全く時代は違うのだが、漢代の画像石(拓本)の人物や動物のゆるい造形と、なんとなく共通するところがある。明代の青呉州『回教文字文皿』とか、天啓赤絵(でも青色が主)の『波文輪花形皿』とか珍しいものも見た。

 漢代の『厨子型明器』は、高床っぽい扉付きの建物を表しているが、前面の左右を支える脚が熊(?)だった。鼓を抱えた楽人坐像(南北朝~唐代)は天龍山石窟由来という説明がついていた。大展示室の外に展示されていた印文画像塼は小さな人物がたくさん刻まれていて面白かった。色も鮮やかだったが、本来の著色かどうかは分からない。明器っぽい陶牛や女性の陶俑もあって、どっぷり古代中国趣味に浸れた。2階の階段まわりに、杵で薬を搗く玉兎とヒキガエル(に見えない)の拓本があり、これも中国の画像石?と思ったら、沖縄・首里の観蓮橋の勾欄のものだと説明にあった。あと、私の大好きな書の拓本『開通褒斜道刻石』も階段の裏にさりげなく展示されていた。

 関連展示「日本の漆工」は大津絵と合わせて。「中国・朝鮮の絵」はいろいろ面白く、朝鮮の『猫蝶図』が、壁掛け状態ではなく、平置きの展示ケースに入っていたので、顔を近づけて、じっくり見ることができた。つややかな毛並みの黒猫、暑さにバテたマレー熊みたい。伝・明宣宗(宣徳帝)筆『狗図』は、もったいぶった大きな朱印の上に「御筆」と墨書されているが、まあ何も言わないでおこう。白黒のふわふわ愛玩犬と、さらに小さな黒い子犬を描く。白黒の犬は舌を出して、愛嬌たっぷりの表情。2階はほかに「朝鮮時代の陶磁」と「工芸作家の色絵」。バーナード・リーチの器で内側に「我孫子」と墨書したものが気になって調べたら、リーチさんは我孫子に住んでいたのか。「私の孫子」の意味をもつ漢字に興味をもったのかなと想像したが、どうだろうか。

 階段エリアは、右に城郭文の色摺りの幟、左も久留米の絵絣で城郭をあらわしている。展示ケースには日本の色絵(伊万里、九谷)が各種、並んでいたが、小さな伊万里の『色絵山水文蓋壺』が目について、すごく気に入ってしまった。赤、青、緑を用い、水彩画のような筆遣いで愛らしい。ほか1階は「日本の古陶」「日本の諸工芸」そして、色とりどりの「日本の絞り染」に涼を感じた。
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