見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

画家と刑事のバディ/中華ドラマ『猟罪図鑑』

2023-12-10 22:43:39 | 見たもの(Webサイト・TV)

〇『猟罪図鑑』全20集(愛奇藝、檸檬影視、2022年)

 中国では2022年公開。日本でも同時期から『猟罪図鑑~見えない肖像画~』のタイトルで知られているのは、そうか、国際版プラットフォームで日本語字幕版が配信されているためか、と気づき、いい時代になったなあと思う。檀健次くんの出演作、最近見ていなかったのだが、『蓮花楼』で10年ぶりくらいに肖順堯さんを見て、同じMIC男団の檀健次くんの最近作を見たくなり、本作を見てみた。

 舞台は中国南方の北江市(ロケ地は厦門)。美術学校の教師を勤める青年画家・沈翊は、市警察分局の模擬画像師(似顔絵師)の職を引き受けるが、刑事隊長の杜城は反発する。7年前、杜城の恩師の雷刑事が何者かに殺害される事件が起きた。当時、画学生だった沈翊は、事件の鍵を握る女性の顔を見たはずなのに、絵に描くことができなかったのだ。雷刑事の事件は今なお未解決で、杜城はずっと犯人を追っていた。しぶしぶ沈翊を受け入れた杜城だったが、沈翊が天才的な画力を発揮し、真摯に捜査に取り組む姿を見て、あっと言う間に「同僚」と認め、「朋友」になってしまう(笑)。

 作中に描かれる事件を、順番どおり【ネタバレ】込みでメモしておく。(1)マンション殺人事件。外売配達員が証言。(2)美容整形外科医の殺害。お客の女性を性的にもてあそんでいたことが判明。(3)高校の校庭で白骨化した遺体が見つかる。10年前に失踪した女子学生の日記から、彼女の学園生活を解き明かす。(4)死刑囚の女性が何度も証言を変更し、共犯者の恋人をかばっていた。(5)旧弊な大学教授を父親に持つ少女が男友達に誘拐され、自力で逃げ出す。(6)妻と幼い娘を残した父親の失踪。被害者に見えた女性には別の顔があった。(7)DV男性から逃れた元妻のもとに男性が現れる。(8)幻覚剤を飲まされて性的暴行を受けた女子学生の証言を読み解く。(9)沈翊の恩師である老画家が妻とともに自殺する。発端は息子を騙ったAI詐欺だった。(10)杜城のお見合い相手となった女性モデル。写真の顔が切り取られる事件が起きる。(11)配達物による連続爆破事件。(12)人身売買組織の首謀者と見られていた女性「M」が遺体で発見される。市警察本局から派遣された路刑事は杜城の行動を疑うが、沈翊らは杜城への信頼を堅持する。そして、情報セキュリティサービス会社の社長が、人身売買組織の黒幕であったこと、雷刑事の殺害にも関与していたことを突き止める。最後は杜城と沈翊が、警官の職務にかける決意を新たにして幕。

 天才・沈翊は、曖昧な証言から犯人の似顔絵を描き出すだけでなく、幼少期の写真や、時には白骨から人物の容貌を推測するとか、ちょっと無理があるんじゃないか、とも思ったが、まあ面白いからいいことにする。扱われる事件の多くが、女性を加害者・被害者とするもので、古いタイプの痴情のもつれとかではなく、非常に現代的な「女性の困難」を題材にしているのが、興味深かった。あと、AIフェイク画像とか、情報セキュリティ企業が市民の個人情報を盗もうとしているというテーマは、ずいぶん現代的だと思った。

 檀健次くんの演じた沈翊は、画力については天才だが、温厚な常識人で、むしろちょっとドン臭いところもあってかわいい。金世佳が演じた杜城は体育会系の単純率直な好男子で、二人の凸凹バディ感(身長差がよい)がこのドラマの最大の魅力だろう。また、杜城をはじめ北江市警察分局の面々はいつも仲が良さそうで、ジェンダーと年齢のバランスもよく、警察ドラマにありがちな一匹狼の問題児もいなくて、理想的な職場に感じられた。悲しい事件もあるが、全体としては気持ちの明るくなる刑事ドラマである。

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2023年12月鳥取砂丘と駅前歩き

2023-12-10 18:11:33 | 行ったもの(美術館・見仏)

先週は木・金と鳥取出張だった。私費で後泊をつけて、土曜は現地の知人に鳥取砂丘を案内してもらった。鳥取砂丘は、たぶん20年以上前に、やはり仕事で鳥取に来たついでに観光したことがある。

この日は山陰の12月とは思えない青空だった。馬の背と呼ばれる大砂丘の尾根(標高47メートルとも)の下は黒っぽい湿地で、小さな池がある(同行者の話では、季節によって池の大きさが変わる、とのこと)。この風景、むかし訪ねた敦煌の月牙泉を思い出した。

へろへろになりながら大砂丘に登ると、紺碧の日本海が広がる。これは鳥取ならではの風景。馬の背の上は、かなり風が強かった。

砂丘の周囲は、むかしながらのお土産屋さんが廃業するのと入れ替わりに、おしゃれな施設ができつつあった。2022年にオープンしたタカハマカフェは隈研吾氏の設計。展望テラスでコーヒーをいただいた。

知人と別れてから、駅前をぶらぶらしていて見つけた、味わいのあるビル。ヲサカ文具店は昭和21年創業の老舗で、メイドイン鳥取のオリジナル文具を開発したり、ジューススタンドも経営している。

その隣りにあったのが、鳥取たくみ工芸店。鳥取が民藝運動ゆかりの土地であることは、隈研吾設計事務所のタカハマカフェについての説明にも言及があって、ぼんやり記憶がうずいていたのだが、あとで調べたら、そうだ、国立近代美術館の『民藝の100年』展でも紹介されていたお店だった。「民藝」らしい陶器や織物、染物が手頃な値段で並ぶ中、来年の干支、龍(たぶん)の木彫りの置物が気になったが…その前に丸由百貨店の地下で、白バラ牛乳のシュトーレンを自分のお土産に買っていたのでガマンした。

食べたものは全部美味しかった。冬の味覚・カニだけでなく、らっきょうとか長芋とか牛骨ラーメンとか。居酒屋に置いてあった、山崎醸造のとろっとした醤油が美味しかったので、どこかで何とか手に入れたいと思っている。

駅前の「すなば珈琲」ではモーニングをいただいた。

次回は遺跡や博物館巡りを中心に計画を立てて、来てみたい。

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