見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2021年8-9月@東京:展覧会拾遺

2021-10-04 20:40:23 | 行ったもの(美術館・見仏)

 10月1日、東京都の緊急事態宣言が解除された。蔓延防止等重点措置の適用も見送られ、完全解除は半年ぶりである。長かったー! いちおう東京都は「リバウンド防止措置期間」を設定しているが、近隣の飲み屋は夜の営業を再開し、行きつけの公共図書館で氏名と連絡先の記入を求められることもなくなった。10月1日は、久しぶりに友人と外飲みしてきた。

 以下は、この間に見に行った展覧会など。いろいろ制約も懸念も多い中、開館を継続してくれた関係者の皆様、ありがとうございます。

文化学園服飾博物館 公益社団法人京都染織文化協会創立80周年記念『再現 女性の服装1500年-京都の染織技術の粋-』(2021年7月15日~9月28日)

 はじめに「古墳時代」「飛鳥・奈良時代の女性の復元衣服が展示されていた。古墳時代(3-7世紀)は色も柄もまだ素朴だが、ナチュラル系で可愛い。飛鳥・奈良(7-8世紀)になると、赤・緑・黄色などのハッキリした色と、手の込んだ細かい文様をまとうようになる。「鎌倉時代」の侍女の小袖に袴姿は、男女差がなくて面白かった。これらの復元衣服は、京都染織祭の女性時代衣装行列のために制作されたものである。昭和26年(1951)まで行われていた染織祭は、京都の三大祭(葵祭・祇園祭・時代祭)とともに春の京都を彩る盛大な祭であったという。初めて知ったが、実際の祭の写真なども展示されており、興味深かった。

三鷹市美術ギャラリー デビュー50周年記念『諸星大二郎展 異界への扉』(2021年8月7日~10月10日)

 漫画家・諸星大二郎(1949-)のデビュー50周年を記念する回顧展。1970年のデビュー作品『ジュン子・恐喝』など原画約350点(展示替え有)のほか、作品世界に関わりの深い美術作品や歴史・民俗資料なども展示。諸星先生ご所蔵のニューギニアの仮面などに加え、縄文土器や土面、古代中国の銅鏡、隠れキリシタンのマリア像、稲生物怪録絵巻、うつぼ舟の女の図、西洋の博物画、仮面祭の写真、夔神(きのかみ)像(甲斐之国山梨岡神社所蔵)など。日本中から、よく見つけて掻き集めてきたなあ。図録を見ると、展覧会企画者は北海道近代美術館の大下智一さんという方らしい。知っていたネタ元もあれば、初めて知って驚いたものもあった。

 本展は、北海道近代美術館(札幌)→イルフ童画館(岡谷)→北九州市漫画ミュージアム→三鷹→足利市立美術館を巡回する。三鷹といえば『栞と紙魚子』の舞台、胃の頭(いのあたま)町のモデル(?)井の頭も近いので、諸星先生、会場のパネルにこんなイラストを残してくださっている。

 実は、私、名場面を知っているだけで、きちんと読んでいない諸星作品が多数あることを認識した。でもこれは嬉しい。生きる楽しみを見つけた気分。

太田記念美術館 没後160年記念『歌川国芳』(2021年9月4日~10月24日)

 説明不要の浮世絵師・歌川国芳(1797-1861)の没後160年を記念する展覧会。動物たちを表情豊かに描いた愉快な戯画が多くて、何度もふふふと含み笑いしてしまった。しかし、あれ?カッコいい系の作品がないな、と思ったら、現在の展示は「PART I. 憂き世を笑いに!-戯画と世相」(9月4日~9月26日)で、このあと「PART II. 江戸っ子を驚かす!-武者と風景」(10月1日~10月24日)が続くのだそうだ。落合芳幾筆『歌川国芳死絵』を見ることができたのは嬉しかった。浴衣の国芳の足元で、顔を半分だけ見せる白猫の幸福感。

国立近現代建築資料館 『丹下健三1938-1970 戦前からオリンピック・万博まで』(2021年7月21日~10月10日)

 1938年の卒業設計から、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博に至るまで、建築家・丹下健三(1913-2005)の前半生を回顧・検証する。同館は、土日は旧岩崎邸庭園の敷地を通らないと入れないのだが、旧岩崎邸庭園が入園予約制になっているのに気づかずに行ってしまった。門前でそのことに気づき、1時間後の入園をスマホから予約。湯島駅前の御菓子司「つる瀬」で時間をつぶした。品のいいクリームあんみつで美味しかった。

 展覧会には、丹下の卒業設計(日比谷公園を想定した芸術複合施設)、戦没学徒記念館(南あわじ市)、広島平和記念公園、国立代々木競技場(第一体育館、第二体育館)、丹下健三自邸、旧東京都庁舎、香川県庁舎、東京カテドラル聖マリア大聖堂などの図面、模型等が出品されていた。そこで初めて気づいたのだが、私はこれまで丹下の代表作を外から見る機会はあっても、中に入ってみたことがほとんどないのだ。残念なことに。

 特に代々木の体育館の館内写真が印象的で、機会があったら行ってみたいと強く思った。と書いて気づいたが、今年のフィギュアスケートNHK杯の会場は代々木第一体育館である。しかし、チケット獲得にチャレンジはしてみるけれど、倍率高いだろうなあ。


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