日々の覚書

MFCオーナーのブログ

想い出のアルバム-HOME IS WHERE THE HEART IS

2009年05月24日 12時27分41秒 | 想い出のアルバムシリーズ

Davidcassidy

青春の館/デビッド・キャシディ(1976)

1.ぼくは燃えている
2.これが恋でなかったら
3.ジャニュアリー
4.フール・イン・ラブ
5.トゥモロー
6.青春は悲しみ
7.恋のかくれんぼ
8.心のさびしさ
9.グッバイ・ブルース
10.ベッド・タイム

一応、これを読んでいる若い人たち(笑)のために説明させて頂くと、デビッド・キャシディは70年代初頭、人気テレビシリーズ『パートリッジ・ファミリー』に出演してアイドルとして大人気だった人である。『パートリッジ・ファミリー』出演中から、ソロ歌手としても活躍していた。やはりアイドルとして、70年代後半に人気を博したショーン・キャシディは実の弟である。ちなみに、この『パートリッジ・ファミリー』、日本でも放送されており、僕もよく見ていた記憶があるのだが、内容はほとんど覚えていない(笑)

『パートリッジ・ファミリー』終了後、デビッドはRCAとレコーディング契約を結び、1975年から76年にかけて、3枚のアルバムを発表する。今回紹介する『青春の館』は、その3枚のうちの2枚目だ。ちなみに、RCAとの契約は、金は出すけど口は出さない、プロモーションの為のツアー等はやらなくていい、等デビッドにとっては実においしい内容であったらしい。

という訳で、デビッドはブルース・ジョンストンを共同プロデューサーに迎え、好き放題(笑)にアルバム制作に取りかかったのであるが、実際発表されたアルバムは、実にグレードの高いポップ・アルバムだった。最初のアルバムにジョンストン作の『歌の贈り物』が収録されているのも、ポイント高い。この曲、翌1976年バリー・マニロウが歌って全米No.1となり、グラミー賞(ソング・オブ・ザ・イヤー)まで獲った名曲であるが、それより前にデビッドがヒットさせていたのだ。バリー・マニロウは、デビッドのバージョンを聴いて、この曲を取り上げたというのは、その筋では結構有名な話。

この『青春の館』は、ブルース・ジョンストンとタッグを組んでの2作目で、これまた素晴らしい出来栄えである。なんたって曲が良い。デビッドのオリジナルでは、一曲目の「僕は燃えている」でしょうね、やっぱり。アップテンポの、血湧き肉踊る名曲である。イントロのアコギのカッテイングから歌になだれ込んでいくあたりで、既にこの曲のとりこになってしまう。♪あもんぱや、と一緒に歌ったもんです(笑) シングルになった「トゥモロー」は、なんとポール・マッカートニーの曲だ。『ワイルド・ライフ』に収録されているそうだが、残念ながら僕は本家のバージョンは聴いた事ない^^; が、デビッドが力強く歌う「トゥモロー」実に素晴らしい。分かりやすく格調高いメロディも、途中で雰囲気の変わる構成も、いかにもポール・マッカートニーという感じで、こんなに良い曲なのに、何故世間に知られてないのか、当時から不思議だったくらい(笑)。

他にも良い曲目白押しで、当時FMで小出しにかかるのを、一所懸命録音していたのを思い出す(笑)。あの頃、日本ではデビッド・キャシディはかなり人気あり、FMでよくかかってたし、『ポップス・ベスト10』の常連でもあった。カーペンターズやベイ・シティ・ローラーズと1位争いをしてたのだ。今となっては、とても信じられないが^^; ほんと、この頃『青春の館』欲しかったです。買えなかったけど(笑) 当時の僕にとって、デビッド・キャシディは、クイーン、キッス、スイートあたりと全く同列だった。

当時、ミュージック・ライフをはじめとする音楽誌では、“アーティストとアイドルの境界線はどこか?”なんて特集をよくやってた記憶がある。そういう特集で、必ず俎上に乗せられるのが、クイーンとデビッド・キャシディだった。両者とも、当時の人気は音楽性よりルックス先行であったのは否定出来ない所で、そこを捉えてアーティストではない、と断定する評論家もいたし、見た目に惑わされてはいけない、中味で評価するなら彼らは立派なアーティストだ、と主張する人もいた。ルックスが良いとアーティストとしては認められないのなら、当の本人からすると、じゃどうすりゃいいんだ、ってな所だろうね。認められるために顔を潰すわけにもいかないし(笑)

ただ、この当時、デビッド・キャシディが単なるアイドル歌手から脱皮して、本格的なミュージシャンとしての評価を得ようとしていたのは事実だと思う。ブルース・ジョンストンと組んだのも、ウィリー・ウィークス、ラス・カンケルといった一流セッションマンを呼んだのも、全てはグレードの高いレコードを作る為だ。その成果が、『青春の館』を含むRCAでのアルバムたちなのだが、グレードの高いレコードは作ったものの、日本とイギリス以外では売れなかったらしく、彼はミュージシャンとしての正当な評価を受けることは出来なかった。ま、たとえアメリカで売れたとしても、アメリカ人は“天は二物を与えず”という格言を頭から信じ込んでいる国民なので(笑)、正当な評価を受ける事が出来たかどうかは疑わしい。

僕としては、当時はともかく、今となっては、デビッド・キャシディがアイドルだろうとなんだろうと、どうでもいい。ただ、彼が素晴らしい作品を残したのは事実なのに、後の世代に知られる事もなく、長い年月が過ぎてしまったのが非常に残念である。実際、『青春の館』をはじめとするRCA時代のアルバムは、単体では21世紀になるまでCD化されなかった。LPですら、その後再発された、という話も聞いてない。1996年に、RCAでの3枚のアルバムからセレクトした『When I'm A Rock'n'Roll Star : The David Cassidy Collection』という編集盤が出たので、かろうじてそこで聴けただけだ。でも、この編集盤は貴重だったなぁ(笑) 『青春の館』からは6曲収録されており、個人的にはずせない「僕は燃えている」「トゥモロー」が聴けるのは嬉しかったけど、「恋のかくれんぼ」とかは未収録だったし、やはりアルバムとしてちゃんと聴きたい、とずっと思っていた。

しかし、ついにその願いが叶うときが来た(笑) 今年になって、RCA時代の3枚がCD化されたのだ。しかも、3枚のうち2枚(『青春の館』と次作の『恋の大通り』)は、世界初CD化だそうで、正に“ついに”という言葉がふさわしい(笑) リマスターではなさそうだし、ボーナストラックもないが、それでもCD化されて、今またデビッド・キャシディのアルバムを聴く事が出来るのだ。長生きはするものである(爆)

とまぁ、手放しで喜ぶべきなのだが、ちと問題がある。それは...

 

 

 

 

 

紙ジャケなんだよね...(-_-#)

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10 コメント

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パートリッジ・ファミリーは本当の家族だと思い込... (Brenda)
2009-05-24 14:50:48
パートリッジ・ファミリーは本当の家族だと思い込んでおりました。
実際に母親役の女優はデビッドの継母(ショーンの母)でしたけど。

内容はワタシもよく覚えてませんが、トラブルがあっても最後はみんなで演奏してハッピー・エンド、という感じだったような。

曲のタイトル(邦題)に「悲しき」「恋」がよく付いていたのでどれがどれか思い出せませんが、今聴いたらきっと懐かしくって号泣してしまうかも(笑)


返信する
私もパートリッジファミリー、見てたと思うのです... (那由他)
2009-05-24 16:29:34
私もパートリッジファミリー、見てたと思うのですが、内容はよく覚えてません。
本当の家族のバンドだと思ってました。
「モンキーズ」も見てたので、実際のバンドと勘違いしたのかも。
なんかキャンピングカーみたいなので、演奏旅行してるという設定だったような、
かすかな記憶が・・・。
デビッド・キャシディ、アルバムを出しているんですね。
私の記憶のデビッド・キャシディはもっと可愛い感じだったのになぁ。
返信する
♪Brendaさん (MFCオーナー)
2009-05-24 17:20:32
♪Brendaさん

>パートリッジ・ファミリーは本当の家族だと思い込んでおりました
う~む、そこまで考えた事はなかったです。まだ幼かったのか?(意味不明)
>トラブルがあっても最後はみんなで演奏してハッピー・エンド、という感じだったような。
言われてみれば、そんな感じだったかも^^; 結構、ドタバタでしたよね?(笑)
>曲のタイトル(邦題)に「悲しき」「恋」がよく付いていたのでどれがどれか思い出せませんが
パートリッジ・ファミリーの最大のヒットは「悲しき初恋」、どちらのキーワードも入ってます(笑)
デビッドの曲では、「恋の誘惑(Get It Up For Love)」がヒットしてました。覚えておられるのではないでしょうか?

♪那由他さん

>見てたと思うのですが、内容はよく覚えてません
那由他さんもですか。こうなってくると、見てたのに覚えてないのは何故か、が気になります(笑)
>「モンキーズ」も見てたので、実際のバンドと勘違いしたのかも
実は、モンキーズは見た事ありません。見たという記憶すらないです。
>なんかキャンピングカーみたいなので、演奏旅行してるという設定だったような
マイクロバスで巡業してましたよね、確か。そのバスにスカンクが紛れ込んで大騒ぎ、という話があったのは、なんとなく記憶にあります。
>私の記憶のデビッド・キャシディはもっと可愛い感じだったのになぁ
彼の声は、見た目のイメージとは違い、結構野太い感じです。あの頃も、やや違和感がありました。おそらく、パートリッジ・ファミリーの吹き替えとは声の感じが違ったのでしょう。すぐ慣れますよ(笑)
返信する
>紙ジャケなんだよね (fxhud402)
2009-05-24 23:10:55
>紙ジャケなんだよね

そう!その一点だけで二の足を踏んでいるCDのなんと多いことか!でも本当に欲しいものだったら買っちゃえばいいんですよ。で、CD-Rに落としてもっぱらそっちを聴くという。紙ジャケからCDのブックレットサイズへの縮尺は88%、四つ折りの歌詞カードからの縮尺は51%でしゅ。
返信する
♪fxhud402さん (MFCオーナー)
2009-05-25 00:19:01
♪fxhud402さん

>その一点だけで二の足を踏んでいるCDのなんと多いことか
理解して頂けます?(笑) 紙ジャケというのは、大抵の場合日本だけなので、普段ならここで輸入盤を買えば済むのですが、今回のデビッド・キャシディの再発に関しては、“世界初CD化”と謳ってるくらいで、輸入盤がないのです。やっぱ、志を曲げて買うしかないか...

>紙ジャケからCDのブックレットサイズへの縮尺は88%、四つ折りの歌詞カードからの縮尺は51%でしゅ
えっ! そんなもんなんですか? てっきり半分以下と思ってました。歌詞カードはやや納得ですが、CDケースはもっと縮小されてると思うのですが....
返信する
言葉足らずでした。LPジャケ→CDブックレットへの縮... (fxhud402)
2009-05-25 01:14:19
言葉足らずでした。LPジャケ→CDブックレットへの縮尺ではなく、僕が今唯一持っている紙ジャケCDのジャケ(発売から約10年間迷いに迷った末に買った。当然?中古。ちなみに邦楽です)からCDブックレットへの縮尺です。だからメーカーによって多少の違いはあると思います。実際、ちょっと大きめのもありますしね。

歌詞カードは四つ折りにするとブックレットのサイズになるから25パーだ!と早合点して設定したら、16分の1の小っちゃーいサイズになっちゃって。あくまで、それぞれの一辺の長さを計って比率を出すわけですよ(わざわざこんなことを書いている時点でアホなのが丸分かりだよなぁ)。

CDが日本盤のみでしかも紙ジャケというのは当然辛いんですが、ダニー・カーワンのソロ作のように一部の作品(ダニーの場合はファースト)だけ外盤があるってのもまた辛いです。
返信する
 (陰陽師@悲田院)
2009-05-25 12:38:54


MFCオーナーもついに「ついにスペース空け」の魔力に囚われましたね?(たぶん、違)

>紙ジャケなんだよね...(-_-#)

今度、我が家の紙ジャケ率を算定しておきます(訊いてねぇ~よ!)

返信する
♪fxhud402さん (MFCオーナー)
2009-05-25 21:53:14
♪fxhud402さん

>LPジャケ→CDブックレットへの縮尺ではなく、僕が今唯一持っている紙ジャケCDのジャケからCDブックレットへの縮尺です
ああ、なるほど。紙ジャケをコピーして、通常プラケースに入れるのですね。それならば、88%というビミョーな縮小率にも納得です。
>ダニー・カーワンのソロ作のように一部の作品(ダニーの場合はファースト)だけ外盤があるってのもまた辛いです
言っちゃ何ですが、ダニー・カーワンといいデビッド・キャシディといい、一部のファン以外は飛びつかないようなのものまで紙ジャケというのは解せませんな。
ちなみに、デビッド・キャシディの場合も、『青春のポートレート』だけは外盤あったはずです。

♪陰陽師どの

>悲田院
あぁ、あなたもついにホームレスの仲間入りとは....
>「ついにスペース空け」の魔力に囚われましたね
いや、前から時々やってるんですけどね^^; やっぱり、「間」が難しいです(笑)
>我が家の紙ジャケ率を算定しておきます
5割を越えるようだと、付き合いを考えないといけないかも(爆)
返信する
では、そんな紙ジャケCDの対極にあるものは?と考... (fxhud402)
2009-05-27 02:46:54
では、そんな紙ジャケCDの対極にあるものは?と考えて思い付いたのが、業界の影の大物?的なこの会社。

http://www.keep.co.jp/

ビデオでの番組エアチェックにはまっていた高校の頃、ここの500円テープにはお世話になったなぁ。今や伝説のポータブルカセットプレーヤー「遊歩人」もここから出ていたはず。

それにしても、想像を絶するラインナップだ…。
返信する
♪fxhud402さん (MFCオーナー)
2009-05-28 00:16:13
♪fxhud402さん

>業界の影の大物?的なこの会社。
う~ん、全く知りませんでした...^^;

>それにしても、想像を絶するラインナップだ…。
同感ですが、なんというか...これ、「みんなの名盤」のネタになるんじゃないですか?(笑)
返信する

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