ちょっと好きな方ならもう良く知っているであろうこのカメラミノ
ルタTC-1
TC-1のTCはキャッチコピーでは確か「The Camera」
だったと思うがまあよい表現だと思う。
1996年生まれでもう20年前のいわゆる「高級コンパクト」と言
うジャンルがあったころの"フィルムカメラ"だ。
そのちょっと前くらいからそういう高級コンパクトと言うジャンルの
カメラが出てき始めたのだが、私はこれを買う前はコンタックスT2
と言うちょっと大きなiPhoneより一回り大きいくらいのカメラ
を使っていたことがある。
一台目はチタンカラーで二台目はグレーだったような覚えがあるな。
まあ、京セラコンタックスの高級コンパクトカメラでツァイスのレン
ズがとか色々話題になったけれどあまり面白いカメラではなく実用的
なカメラだった。
その後このTC-1と出会うわけだがその時にあったのはコンタック
スはT3になって、スクエアな小さなカメラになっていてこのTC-
1とよく比較されていた。
しかし以前にT2を使っていてあまり写りは変わらないと言うのと京
セラコンタックスのカメラは故障しやすいと言うところが引っかかっ
ていて(T3の中古が少ないのはそこにある)もういいやと言うこと
で、と言うか前から興味を引かれていたミノルタTC-1を求めたの
でした、148000円+消費税3%也、値引き無しだった。
このカメラに惹かれたのはこのレンズGロッコール28mmf3.5
もうお分かりの方もいるかもしれないがわたしの目は28mmなのだ。
ミノルタさんにはなぜか28mmのいいレンズが多く、CLE用の2
8mmなんかも本体より数倍高い価格で取引されているのを見かける。
プログラムAEではなく絞り優先AEで、電源を入れると出てくるな
ぜか四角い鏡筒のところに絞りリングならぬ絞りレバーがある。
絞りによって穴の大きさが違う板っ切れが入れ替わると言う仕組みな
ので中間絞りは使えないがこれぞ完全円形絞りである。
ステップ式だがマニュアルフォーカスも使えるのでf8くらいに絞っ
ておいてモードをMFにして3m位の距離にセットしておけばスナッ
プならまず何も考えないでシャッターを押しても写る。
ISO400のフィルムを詰めてf16まで絞っておけばもう「写る
ンです」の世界だがシャッタースピードが1/350まで(それを超
えると1/750までシャッターで絞る機能はあるが)なので160
か200くらいのフィルムが使い易い。
コニカヘキサーが1/250までしかないのに比べたら十分楽だがな。
そしてやはりこのレンズが素晴らしく、とは言えカラーではちょっと
面白くないかもしれない、と言うのは普通に写りすぎるのだ。
リコーのコンパクトGR(デジタルになる前のフィルムカメラ)が例
えば青空をくっきりと青く写すのに対してTC-1はごく普通の空に
写るのだ。
これは逆に言えばそれだけレンズの性能が優れていると言うことだが
味を求めるとなるとちょっと違う。
出来ればこのカメラではモノクロで撮ってみてもらいたい。
その階調と切れの良さに驚くだろう、私は専らモノクロなのでそこは
嬉しいところだ。
カメラ上面の図。
左側には液晶モニタが付いていて枚数とかフラッシュモードとかシャ
ッタースピードとか表示される。
背面にあるボタンを押せばごらんの通りバックライトまで点く。
右側はシャッターボタンとモード切替ボタンで、出来ることはこれだ
けある。
モードを選んで上にある横スライドのスイッチで決定する仕組みだ。
動作音はちょっと大きい方でシャッターを切ると「ジー・チッチ・ウ
ィーン」と今何やってるのかはっきり分かる作動音がよく分かる。
背面はこれだけ、左から上面LCDのバックライトスイッチ、ファイ
ンダー接岸窓と視度調節つまみ、電源ボタン、一番右はスポット測光
のボタンだ。
ファインダーは今から見れば「こんなので覗けるの?」と思うかもし
れないが思っているより広く、安物のAPS-Cデジタルカメラのよ
うな広さがある。
中の表示は左側にシャッタースピード、下におおよその距離が針で示
される必要にして十分な情報だ。
ちなみにボディはチタン製、この頃のトレンドだがミノルタの小型カ
メラの常として前に向かって絞り込まれている真四角で無い形だ。
バッテリーはCR123Aが一個、これでかなりの数が撮れるから燃
費は悪く無い。
当時のミノルタの技術陣がマジで技術の粋を投入させて作り上げたた
だ小さいだけでない本物志向の一台である。
現在の中古相場も比較的高く6~10万円位する。
が、忘れてはならないのはミノルタだと言うことで電装系にちょっと
心配があるのだがこのカメラに限ってはあまり故障した固体は見かけ
ない(ないわけでは無い)のでやはり作る時の根性が違うのだろう。
これも人気のミノルタCLEなんかは一見ちゃんと動いているようで
撮ってみても一応写ってしまうからわからないけれど今中古で流れて
いるものなどはまず皆どこか狂っていると言うことで、あれだけはお
金を払って先にオーバーホールしないとダメである。(だからボディ
は安いのだが)
実はこのカメラこの前防災グッズを点検していた時に(防災グッズと
は言えラジオとカメラとフィルムと電池と救急箱くらいしか入ってい
ないが)小さなラジオと一緒に出てきたもので、おお、こんなところ
にいたのか、と思ってまた最近遊んでいるのである。
ちょっと大きなコンパクトデジカメくらいの大きさだが中身が詰まっ
ているのでズッシリ感があり、チタンの外装とあいまって非常に高級
に見える(実際下手な安い一眼レフより高かったのだが)と言うかな
んだか安心感がある。
これは電池の入る前の(いわゆるM4までの)ライカの感触と似てい
て何が詰まってるの?と言う感じのズッシリ感と言うか精密感から来
るもの(ライカの中身はスカスカだが)かもしれないが、TC-1は
バッテリーの続く限り撮影者を裏切らない信頼の一台であると思うの
だ。
お散歩にも丁度良く、ニコンミニやティアラのようなフルオートもい
いけれど少し遊べるカメラでチョコチョコ撮って歩くのもなかなか楽
しいものである。
何せその気になればかなり本格的な写真も撮れるのだから使わない手
はないだろう・・・・。
本日の種:ペンタックスMX-1