九条内大臣兼実
あしのやの
砂子の山の
みなかみを
のぼりて見れば
布びきのたき
夫木抄
九条内大臣
芦の屋の砂子の山の水上を登りて見れば布引の滝
読み:あしのやのいさごのやまのみなかみをのぼりてみればぬのびきのたき
伊勢物語 八十七段
ここをなむ蘆屋のなだとはいひける。この男、なま宮づかへしければ、それをたよりにて、衛府の佐ども集り来にけり。この男のこのかみも衛府の督なりけり。その家の前の海のほとりに、遊び歩きて、
「【いざ、この山】のかみにありといふ布引の滝見にのぼらむ」といひて、のぼりて見るに、その滝、ものよりことなり。
長さ二十丈、広さ五丈ばかりなる石のおもて、白絹に岩をつつめらむやうになむありける。