(月の巻)
儀同三司母 儀同三司伊周父中関白道隆公
也。母従二位高階真人成忠女。従
三位貴子也。
忘れ 期
じの の
行末 い
まで の
は
かた
けれ ち
けふ ば とも
を がな
(花の巻)
儀同三司母
わすれじの
ゆく末
までは
かたけれ
ば
けふを
かぎりの
命とも
がな
新古今集恋
三に中関白か
よひそめ侍
りける比と
あり。
○わすれじのと
は忘れじと
いふことのと
ふべきを略し
たるなり。わすれじ
の人だにとはぬ又
わすれじのことのは
いかになどよめるを
おなじうたのこゝろは
行すゑをかけてわす
るまじきよしをちぎ
れどもをとこのこゝろ
はかはりやすきものな
ればゆくすゑのたの
めはおぼつかなければたゞ
今人のこゝろがはりせぬほ
どに死して人にわすらるゝ
うきめみじと也。赤染衛門
あすあらばわすらるゝみにならぬべし
けふをすごさぬいのちともかな
和泉式部
こよひさへあらばかくこそおもほえ
けふくれぬまの命ともかな め
新古今和歌集第十三 戀歌三
中關白通ひそめ侍りける頃
儀同三司母
忘れじの行末まではかたければ今日をかぎりの命ともがな
よみ: わすれじのゆくすえまではかたければきょうをかぎりのいのちともがな 隠
意味:貴方の私を忘れず一生大事にしますという今の言葉は信用ができないので、いっそ今日死んでしまって貴方が嘘の罪を行っていないこととしたいです。
備考: 百人一首、時代不同歌合、八代集抄、女房三十六人歌合。
※あすあらば~
後拾遺集恋歌二
赤染衛門
明日ならば忘らるる身になりぬべしけふをすぐさぬ命ともかな
※こよひさへ~
後拾遺集恋歌二
和泉式部
今宵さへあらばかくこそ思ほえめけふ暮ぬまの命ともがな