めいくはけいこくふたつながり
名花傾國兩
あいよろこふつねにえるくんのうの
相歡常得君王
おひてわらひをみることをかいせきして
帶笑看解釋
しゆんふうなきかきりうらみを
春風無限恨
ちんこうていのきた
沉香亭北
よるらんかんに
倚闌干
はなもきびがやうなものに
なかめられきひとはなを
見てふたつなからあひよ
ろこふ。めいくはとはぼたんのこと。
ほたんのめいくはもきひのびし
んもふたつながらさき○い
りじや。くんのうこの花ヲ
見てわらひをおびたまへ
あいせらるゝゆへかよふに
あいよろこんで見る
はなのこゝろにもか
よふにはるかせがふか
ばついにふきちらさ
れるてあろふといふ
あやふみがありおんな
のならひとしてつねにはる風
などのふくにおふてはわがかたちも
おとろへてうあいもすたろふかとおも
ふかぎりなきうらみかあるがきひは
そのやうなうらみもなくかいせき/\かてん
してこゝろにうれいもなくはなを見
たのしんできみとともにちんこう
ていのきたのらんかんによつてなんの
うらみもなく りはく
ほたんをあいして 李白
いらるゝ。
清平調詞三首 其三
李白
名花傾国、両(ふた)つながら相歓ぶ。
常に得たり、君王の笑みを帯びて看るを。
解釈す、春風無限の恨み。
沈香亭北、闌干に倚る。
意訳
牡丹の名華と絶世の美女を両方愛でる事が出来る。
そして常に我が君玄宗の笑みを含みつつご覧頂く栄誉を得ている。
それは又、春風がもたらす果てしない愁いを解きほぐしながら、沈香亭の北の欄干に楊貴妃様はもたれ掛かっていらっしゃる。
※傾国 国を傾けるほどの絶世の美女。「漢書」外戚伝の「北方に佳人有り。…一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く」から
※沈香亭 興慶宮の中央の龍池の辺りにあった。
※闌干 沈香亭の手摺
唐詩選畫本 七言絶句 巻一