新古今和歌集 巻第十六雑歌上
はやくよりわらはともたちに侍ける人の年比へて
行あひたるほのかにて七月十日比月にき
ほいてかへり侍けれは
紫式部
めくりあひてみしやそれともわかぬまに雲隠にしよはの月哉(※)
みこの宮と申ける時少納言藤原統理年ころ
なれつかうまつりけるを世をそむきぬへき
さまに思ひ立けるけしきを御覧して
三条院御歌
月影の山のはわけてかくれなはそむくうき世を我やなかめむ
題不知 藤原為時
(※)新古今和歌集では、夜半の月影
読み:めぐりあいてみしやそれともわかぬまにくもがくれにしよわのつきかげ 隠
意味:ちょっと出て月かどうかわからないうちに、また雲に隠れてしまった月のように、貴方はまたどちらかへ急いでいかれるのですね。ゆっくりお話もしなうちに。
作者:むらさきしきぶ973?~1014?藤原為時の娘。藤原宣孝と結婚し、大弐三位を生むが、夫と死別。一条天皇中宮彰子に仕え源氏物語を執筆。
備考:紫式部集では十月十日。廻りは月の縁語。本歌:忘るなよほどは雲居になりぬとも空行く月の廻り逢ふまで(拾遺集雑歌上 橘忠幹、伊勢物語)
百人一首、八代集抄、女房三十六人歌合、九代抄、九代集抄
読み:つきかげのやまのはわけてかくれなばそむくうきよをわれやながめむ 隠
作者:三条天皇さんじょう976から1017冷泉天皇の皇子。藤原道長の圧力で在位五年で退位。
備考:八代集抄
平成27年8月23日 壱点参