新古今和歌集の部屋

恋歌四 寄月恋 筆者不明コレクション

新古今和歌集 巻第十四恋歌四

題しらず 八條院高倉


曇れかしながむるからに悲しきは月におぼゆる人のおもかげ

百首哥の中に      太上天皇

忘らるる身を知る袖のむら雨につれなく山の月は出でけり

千五百番歌合に    攝政太政大臣

めぐりあはむ限はいつと知らねども月な隔てそよその浮雲

わが涙もとめて袖にやどれ月さりとて人のかげは見えねど

權中納言公經

戀ひわぶるなみだや空に曇るらむ光もかはるねやの月かげ

左衞門督通光


読み:くもれかしながむるからにかなしきはつきにおぼゆるひとのおもかげ 隠

意味;曇ってくれ。眺めているから悲しいのだ。月を見ていると思い出す恋人の面影を。

作者:はちじょういんのたかくら平安末期鎌倉初期の女流歌人。法院澄憲、高松院の子。鳥羽天皇皇女璋子内親王に仕えた。

備考:未詳、 女房三十六人歌合、美濃の家づと


読み;わすらるるみをしるそでのむらさめにつれなくやまのつきはいでけり

意味:あの人に忘れられる身を知る村雨のように袖に涙がこぼれ落ちているのに、あの人が来るかも知れない時が過ぎた事を告げるかのように山の端の月は無常にも出てきました

作者:後鳥羽天皇ごとば1180~1239譲位後三代院政をしく。承久の変により隠岐に流される。多芸多才で、新古今和歌集の院宣を発し、撰者に撰ばせた後更に撰ぶ。

備考:建仁二年五月仙洞影供歌合で題は「遭不逢恋」 仙洞影供歌合

八代抄、美濃の家づと


読み:めぐりあわむかぎりはいつとしらねどもつきなへだてそよそのうきぐも 隠

意味:再びお逢いできるのは何時とは分からないけど、あまり月日が経たないようにしてくれ。無関係なうっとうしい邪魔が入らずに。

備考:千五百番歌合、美濃の家づと


読み:わがなみだもとめてそでにやどれつきさりとてひとのかげはみえねど

意味:恋人に捨てられて寂しい私の涙を探して袖に宿ってくれ。月よ。だからといって、あの人の姿は映っていないですが。

備考:千五百番歌合、美濃の家づと

作者:藤原良経ふじわらのよしつね1169~1206関白九条兼実の子。後京極殿と呼ばれた。新古今和歌集に関与


読み:こいわぶるなみだやそらにくもるらむひかりもかわるねやのつきかげ 隠

意味:恋に悩み苦しんでいる涙で空が曇っています。月影の光も寝所にさすと変わっていますよ。

作者:藤原公経ふじわらのきんつね1171~1244承久の変後太政大臣に。別荘に西園寺を建立したことから、西園寺の家名となる。

備考;千五百番歌合、美濃の家づと

平成27年8月23日 壱

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