新古今和歌集の部屋

美濃の家づと 四の巻 恋歌一2

 

 

 

 

 

 

百首哥の中に忍恋      式子内親王

玉の緒よたえなば絶ねながらへばしのぶることのよわりもぞする

めでたし。上句めでたし。 も°ぞ°のてにをはの

意、言葉の玉緒にいへるがごとし。

わすれてはうち歎かるゝゆふべ哉我のみしりてすぐる月日を

初句は、我のみしりて、その人はしらぬことゝいふことを忘れ

ては也。 とぢめのを°は、なるものをの意なり。

我戀はしる人もなしせく床の涙もらすなつげの小まくら

本哥、√我戀は人知るらめや敷たへの枕のみこそしらば

しるらめ。√枕より又しる人もなき戀をなみだせき

あへずもらしつるかな。

百首歌奉りしに        摂政

かぢをたえゆらのみなとによる舩のたよりもしらぬ沖津塩風

本歌√ゆらのとをわたる舩人云々。 湊によるたよりもしら

ぬ、といへるのみとて、さのみ本哥の意にことなることもなきは、いかにぞや。

題しらず            式子内親王

しるべせよ跡なき浪にこぐ舩のゆくへもしらぬ八重のしほ風

本哥√しら波の跡なきかたに行舟も風ぞたよりの

しるべなりける。 これも本哥とことなる意なし。その

うへ本歌は、三の句のも°ゝじにて、戀の哥と聞ゆるを、此御哥

は、戀ときこゆべき詞なし。

和哥所哥合に忍恋      摂政

難波人いかなるえにかくちはてむあふことなみに身をつくしつゝ

二三の句、江を縁の意にとりて、終にいかなる縁にかくちは

てんとなり。 初句は江といひ、浪といひ、みをつくしと

いはん料に、戀する我身をさしていへるなれど、難波人の

くちはつるといふ詞の、いかにぞや聞ゆるなり。

※本哥、√我戀は~
古今集 恋歌一
 題しらず          読人しらず
わかこひを人しるらめや敷妙の枕のみこそしらはしるらめ

※√枕より又しる人もなき~
古今集 恋歌三
 題しらず          平貞文
枕より又しる人もなきこひを涙せきあへずもらしつるかな

※本歌√ゆらのとをわたる舩人
新古今和歌集巻第十一
  恋歌一
 題知らず
               曾禰好忠
由良のとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋のみちかな

よみ:ゆらのとをわたるふなびとかじをたえゆくえもしらぬこいのみちかな 隠

意味:潮の流れの速い由良の瀬戸を船頭が梶を無くしてどこへ行くかわからなくなるような私の恋です。

作者:そねのよしただ平安中期の歌人で中古三十六歌仙の一人。丹後掾であったので、曾丹後と呼ばれた。寛和二年内裏歌合の詠者。

備考:歌枕 京都府宮津市由良と淡路の洲本市由良町と和歌山県日高郡由良町があるが、丹後に5年間いたことから京都府が有力。百人一首、八代集抄、歌枕名寄枕、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫)

京都府宮津市 由良の海岸

※本哥√しら波の~
古今集 恋歌一
 題しらず 藤原勝臣
白浪のあとなき方に行く舟も風そたよりのしるへなりける

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「美濃の家づと」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事