新古今和歌集の部屋

前田家本 方丈記 日野の庵8 茅花を抜き岩梨を取り

つはなをぬきいはなしをとり

ぬかこをもりせりをつむ。あるひ

はすそはのたいにいたりておち

ほをひろひほくみをつくる。もし

日うらゝかなれはみねによちのほ

りてはるかにふるさとのそらを

のそみこはたやまふしみのさと

とははつかしをみる。勝地はぬしなけ

れは心をなくさむるにさわりなし。


茅花を抜き、岩梨を取り、零余子を盛り、芹を摘む。

或は裾輪の田居に至りて、落ち穂を拾ひ、穂組を作る。

もし、日麗らかなれば、峰によぢ登りて、遙かに故里の空を望み、木幡山、伏見の里、鳥羽、羽束師を見る。

勝地は、主無ければ、心を慰むるに障り無し。


(参考)大福光寺本

ツハナヲヌキイハナシヲトリヌカコヲモリセリヲツム。

或ハスソワノ田イニイタリテヲチホヲヒロヒテホクミヲツクル

ウラゝカナレハミネニヨチノホリテハルカニフルサトノソラヲノソミコハタ山フシミノサト鳥羽ハツカシヲミル。

勝地ハヌシナケレハ心ヲナクサムルニサハリナシ

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