五味偏勝とは一味を多く食過すを云。甘き物多ければ
腹はり痛む。辛き物過れば氣上りて氣へり瘡を
生じ眼あしゝ。鹹き物多ければ血かはきのんどか
はき湯水多くのめば湿を生じ脾胃をやぶる。苦き
物多ければ脾胃の生氣を損ず。酸き物多ければ
氣ちゞまる。五味をそなへて少づゝ食へば病生ぜず。諸
肉も諸菜も同じ物をつゞけて食すれば滞り
て害あり。
食は身をやしなふ物なり。身を養ふ物を以テかへつて身を
そこなふべからず。故に凡食物は性よくして身をやし
なふに益ある物をつねにゑらんで食ふべし。益なく
して損ある物味よくとてもくらふべからず。温補し
て氣をふさがざる物は益あり。生冷にして泻下シ氣を
ふさぎ腹はる物辛くし熱ある物皆損あり。
飯はよく人をやしなひ又よく人を害す。故に飯はことに
多食すべからず。常に食して冝しき分量を定む
べし。飯を多くくらはば脾臓をやぶり元氣をふさぐ。
多の食の過たるより飯の過たるは消化しがたくし
て大に害あり。客となりてあるじ心を用ひてまうけ
たる品味を箸を下さゞれば主人の盛意を空しく
するも快からずと思はゞ飯を常の時より半減し
て飣の品味を少づゝ食すべし。如此すればさい多けれど
食にやぶられず。飯を常の如く食して又魚鳥などの
飣数品多くくらへば必ずやぶらる。飯後に又茶菓子
とて餅餌などくらひ或後段とて麪類など食
すれば飽満して氣をふさぎ食にやぶらる。是常の
分量に過れば也。茶菓子後段は分外の食なり。少
食して可也。過すべからず。もし食後に小食せんとおもはゞ
かねて飯を減すべし。
【感想】
甘過ぎ、辛過ぎ、塩辛過ぎは身体に良くない。特に好きだからと言って、毎日同じものを食べ続けるのはとてもいけない。糖分、塩分、カプサイシンは控えめに。
食にも有益な物と損する物が有る。ただ、テレビでこれが良いと放送され、そればかり食べているのは、フードファディズムと言って忌むべき。私は番組名から「あるある病」と呼んでいる。栄養が偏って栄養失調になり得る。栄養ってカロリーだけじゃ無い。ここでは、温かい物を推奨し、生物、冷たい物を損すると有る。
ご飯は、日本人を養っているが、多食は害を成す。大食い選手権などを見ていると、健康にいかにも悪そう。呼ばれた宴席でもご飯を少なめにして、飣(さい:副食)を多めに食べれば、主人も機嫌を悪くしないだろう?食後のデザート🍰は健康に悪い。別腹と言って後から体重計に乗って後悔する。血糖値にも良く無いので、食べない事も有る。飲み会の後、小腹が空いたと言うので、ラーメン店に入っていたが、今はお腹の脂肪として残っている。これが減らない。
養生訓巻第三 飲食上