行き先不明人の時刻表2

何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

被災地交通インフラ1、全線開通の常磐線は?

2020年10月13日 | 鉄道


今回訪れた東北の被災地での交通事情に触れておく。
まず、福島浜通りを南北に結び、首都圏とも直結する路線であるJR常磐線は、この春に全面復旧した。最後まで残っていたのは上り方向・富岡駅と下り方向の浪江駅区間。やはり原発事故の影響が色濃い地域で、避難指示の解除に伴い運転再開された。

以前紹介したのは、2013年9月に上り方向の広野駅まで一部開通したとき(すでにこのとき二つ先の竜田駅までの開通が決まっていた)。そして仙台方向からは、2013年3月、復旧したばかりの浜吉田駅まで足を運んだことがあった。
今回全通ということで、どうしても「いわき」と「岩沼」間は通しで乗りたかったので、新幹線を乗り継ぎ、仙台経由で特急・ひたちで双葉駅へ。その後の目的地が三陸方面にあるなら仙台に戻るのが普通だが、いわき出て、磐越東線で郡山へ、そして仙台というループコースを選択した。



ひたち・ときわで使用されるE657系は乗った記憶が飛んでいたが、調べてみると2013年の春のダイヤ改正で、スーパーひたち、フレッシュひたち(当時)のE657への置き換えはすべて終了していたということだし、2013年に撮影した写真が残っていたので、前回いわきへ行くときに乗っていたことは間違いない。
首都近郊通勤用電車のグリーン車のように、指定券販売済みの状況が座席上のランプで分かる。全席指定席だが、座席未指定券にも配慮して、最寄り駅から間もなく乗車してくる席については、黄色の店頭でお知らせするという優れもの(写真上)。
路線としては、内陸移設工事なども施されていて、いわき・仙台区間ではほとんどが単線、そして高架区間が多い。路線移設に伴うもののほか、前回紹介した双葉駅のように、新設された真新しい駅も目立つ(写真下)。



特急以外は、上り下り方向とも原ノ町駅で折り返し。直通の特急ひたちは、一日三往復。(以前は、直通3往復のほか、上野・原ノ町間に2往復、いわき・仙台間に1往復あった。運行距離373.9キロ(品川・仙台間)、運行時間4時間31分(ひたち3号)は、JR東日本管内で最長。)ダイヤ改正により、浪江駅までは東京近郊区間、下り方向・小高駅までは仙台近郊。ただし、Suicaのエリア間の相互利用はできない。まあ、いいことなのかどうか?
不通の時からすると利便性は格段に上昇したとはいえ、帰還困難区域(特定復興再生区域)を走るということからして、乗車利率は極めて低いと思われる。地域住民の足になろうと思っても、住民がいない区間を走り抜けるのだから。
この状況からこそ抜けなければ、通勤者、通学者などを乗せる、本来の公共交通の役目はなかなか果たせない。



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