行き先不明人の時刻表2

何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

黒部漁港で見つけた「旋回式可動橋」と「海底地下道」

2024年12月11日 | 土木構造物・土木遺産


黒部市「生地」を訪れようと思ったのは、名水百選の「清水」を巡ろうと思ったわけではなく、ましてや銘酒「幻の瀧」を求めたわけでもない。実は、とっかかりは「可動橋」があると知り、それを調べているうちに生地の魅力に次々に取りつかれていったのだ。
その橋は「生地中橋」という。内陸に掘り込むように作られた黒部漁港の外海との出入口付近に、南北の生地のまちを結ぶように架けられている。
この可動橋、橋の片側(南側)を軸として、橋桁全体が回転する日本で初めての「片持ち旋回式可動橋」で、船が漁港に出入りする際に橋を78度まで回転させるもので、世界的に見ても珍しい方式だという。これが私がこの町に注目するきっかけとなった!
(写真下:中橋の可動時の連続写真)



初代の中橋も昇降式可動橋だったそうだ。この方式では旧筑後川橋梁(現在遊歩道)や愛媛の長浜大橋などがあるが、そのほかにも隅田川の勝鬨橋のような跳開橋(現在可動していない)なども可動橋、さまざまな方式がある中で、片持ち旋回式の可動橋はとにかく貴重!
現在の生地中橋は1982年(昭和57年)生まれ。船が通るときには橋の両端に設置された遮断機が降りて(写真下)、クルマや歩行者は船の通過を待つ。操作は24時間昼夜を問わず橋の南詰にある管理棟で行われている。(写真下:橋の南詰、管理棟の下の路上には、橋げた末端部が半円形で回転する軸になっていることがわかる。)
油圧シリンダー2本で307トンの橋を持ち上げ、2本の旋回シリンダーで7回転する構造。建設当時の橋梁土木技術と機械工学技術が結集されたともとされている。「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選(水産庁)」にも選定。



とはいっても、うまい具合に橋が旋回する瞬間に出会えるものか?しかし、これまた偶然に、橋の近くまで来たら遮断機が降りた。前回同様、生地のまちで自分には「偶然」が味方してくれる。日に数回しか可動しない日もあるそうだ。(年間では5000回を超える可動数なので実はかなりの働き者。)
橋長38.4メートル、幅が7メートル。30センチほど持ち上がり旋回するところを目の当たりに!しかし、写真上のとおり橋の上はクルマがすれ違うとかなり狭く感じる。黒部漁港には、もう一つ、歩行者用の「海底地下道」がある。車道や線路をアンダーパスでかわすというのはよく聞くが、これまた珍しい。
可動橋から100メートルほど東に行くと、60段の階段を下りて海底10メートルの世界へ続く(写真下)。といっても、先に触れたとおりこれは歩行者の安全のためで、近くの生地小学校へ通う児童の通学路にもなっているそうだ。
生地のまち、最高!黒部漁港、生地の清水、幻の瀧、みんな最高!







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