富山「富岩水上ライン」で富岩運河の見どころを堪能しながら、環水公園から終点の「岩瀬カナル会館」まで乗船。この乗船券には復路の路面電車の運賃が含まれていて、富山の新交通インフラをダブルで楽しめるといったものになっている。
チケットの案内には「路面電車」という表記になっているが、これは富山自慢のLRT(ライト・レール・トレイン)で、富山地方鉄道の「富山港線」ということになる。正確に言うと「トラムトレイン」という分類になるそうだ。
私が乗車した「岩瀬浜」は、富山港線の終点、そこから専用軌道を利用して旧JRの富山港線を活用し、市内に入って路面軌道を「富山駅」へ。富山地鉄の市内軌道本線や環状線(市電)と相互乗り入れをしている。(富山港線は第三セクターの時代があり、市電路線にも富山市が所有する部分があるなど、富山市が密接に関与している。)
さて富山港線、「富岩トラムライン」とでも呼ぼうか?岩瀬カナル会館から岩瀬浜駅までは、ほんの数分の距離。運行間隔は日中でも15分感覚が保たれており、すでに入線していた緑色の2連接低床車体の0600形は、富山ライトレール時代からの新時代を切り開いた生え抜き車両。「ポートラム」の愛称がある(写真最上段、見出し画像は剱岳をバックに走るポートラム)。
8編成ある同形車両には異なったカラーが施され、キャラクターもある。生え抜きといっても2006年運用開始だから内装もきれいで都会的。連接部にロングシートでボックスシートもある。もちろんワンマン。そのほかに、デ9000形(セントラム、写真上の交換列車)、三連接のT100形(サントラム、写真下・富山駅前で)が市電区間と主に共用運転をしている。(0600形、デ9000形は新潟生まれ!新潟トランシス製。)
岩瀬浜から富山駅へは30分弱。「奥田中学校前」までの専用軌道(第一種鉄道事業)線から、道路(軌道事業)に入ってクルマと一緒に走ったり、反対列車とすれ違ったり、牛島町の交差点で大きくカーブし富山駅に向かう車窓は、何とも都会を感じてしまう。
ところで、この富山港線は「富岩鉄道」によって大正期に開業した。その後、合併などにより会社名を変えるなどして戦時下に富山地方鉄道から国有化され、国鉄からJR西日本の路線となるのだが、JRの民営分割・合理化の流れの中で、JR西日本は超赤字路線だった同路線を実質廃線の検討をしていることを明らかにする。
それを何とかしようと富山市が中心となって第三セクター「富山ライトレール」が設立され、2006年(平成18年)開業する。お隣、高岡市の万葉線の例もあったのだが、国内で路面電車が新設されるのは実に久々のことであり話題を呼んだ。また、国有化を経て戦前の事業者(富山地方鉄道)に運営が戻るのも珍しいこととか。
富山市内を走る電車には歴史があり、そしてコンパクトシティを目指す富山市のまちづくりにも注目が集まり、宇都宮のライトレール事業にも波及したともいえる。様々な形の電車が走る市電を見ていると、何とも羨ましさと嬉しさが湧いてくる。(写真下:富山駅前の市電乗り場と、「県庁前駅」で古参電車デ7000形の雄姿。)