先月5月のウォーキング結果は、2回の壬生街道ウォークなどで
一日平均九千歩半ば、4月を凌ぎ今年最高となった。伊能ウォーク隊
の足跡を辿るバーチャル日本一周は大分県直前、宮崎の臼杵市へ。
いやー、宮崎県は長い。都城市から臼杵市まで330キロ。先月上旬
から2か月近くかかった。
2000年9月26日、伊能ウォーク隊が臼杵市に入った日、鉱山会社2社
が県道を走るダンプトラック延べ460台の運行を止めてくれたという。
哲学者、長谷川宏の新聞連載「語る」の最終、13・14回目から。
東大哲学科博士課程を卒業後の研究生として全共闘活動を体験し、
権威主義の大学を否定した者として、どこであれ大学に職を求めず、
学習塾で生計を立てながら市井の研究者となった。
その市井の中で長谷川宏が体得したのは、「哲学も一人ひとりの
具体的な暮らしから生命を受けている」ということだった。市井の
人々と永年続けている勉強会、読書会も多い。
・学習塾の生徒の母親たちとの「児童文学読書会」
・古今東西の文学を教材とする「土曜の夜の読書会」
・ヘーゲルを原書(ドイツ語)で読む「ヘーゲルを読む会」
・美術を論じた英文テキストを読む「美術史勉強会」
・思想書と芸術書を行ったり来たりする「美学の会」
・近代日本の思想書、文学書を系統的に読む「近代を考える会」
などである。(「日本精神史近代編」のあとがきより)
そして何よりも「生活の中の哲学」を意識させられたエピソード
がある。故郷島根に帰省した時に会った幼ともだちは、家庭の事情
で中学卒業後に炭売りの家に養子に出た。暮らしに追われながらも
西洋哲学を読み、思索に触れるのが楽しみだと言った。衝撃だった。
研究の傍ら4人の子を育てた長谷川宏は、同居した長女の子(孫)
の面倒も見るようになる。妻を亡くした父への配慮と長女は言うが、
研究の時間が奪われると心配した。だが心豊かな生活となった。
その孫と見たシブリアニメに感心して、近著「日本精神史近代編」
の最後に宮崎駿を取り上げ、「となりのトトロ」と「もののけ姫」の
ストーリーを展開した後、その意義を論じている。
「となりのトトロ」では、経済成長と競争に勝つことが求められる
時代、反時代的で小さな静かなユートピア世界の可能性を探ろうとする
作品とし、「もののけ姫」の歯切れの悪い終わり方は、自然環境破壊の
時代にあって、人間と自然のあいだの矛盾と亀裂の解決が簡単ではない
ことを示唆しているとする。
まさに地に足が付いた哲学者、長谷川宏。1940年生まれ、84歳である。
最近は、「観念過剰と感情過多を排し、楽天主義であくびのようにさりげ
ないしぐさを重んじるフランスの哲学者アラン」を研究している。
三郷中央、小さな公園の花たち