父に感謝の言葉を伝えた日。

やっとやっと心の整理ができて、ブログを書く気になれた。

出産の2日前に父が亡くなった。

孫に会えるのを楽しみにしていた父。一目会わせてあげたかった。悔しい、これが一番心残り。何でこのタイミングに父が旅立ってしまったのか…。

私の妊娠がわかったほぼ同時期に父の病気が見つかった。病名は癌。

今は2人に1人が癌にかかると言われているらしい。

父は今まで大きな病気をしたことがなかったから、父の闘病生活は考えられなかった。

母と兄が私の妊婦の身体を気遣ってくれて、父の病気の詳細は出産するまで秘密にしていた。余命は1年ない、早ければ半年と言われていたらしい。

母が私の出産日を焦っていた理由がわかった。臨月に入ると電話する度に「まだ？」と聞いてきて、私はちょっとストレスを感じていた。

父の病状が悪化してきて亡くなるまでに会わせられるか心配で仕方がなかったみたい。

病状が良くないのは何となくわかっていたけど、コロナでなかなか会いにいけなかったのが残念だった。

父の体調が急変した日、兄から電話があり私は泣きながら病院へ向かった。

（この時の私は臨月で翌日に入院予定だった。出産予定日を過ぎても陣痛がこなかったから、入院することになっていた）

たまたまリモートワークで旦那さんが家にいてよかった。1人だったらどうしていいかわからなかった。

兄達はギリギリまで私に伝えるか悩んだらしい。出産予定日を過ぎていたから道中で何か起こったらどうしようって。

私はすぐに車で病院へ向かった、これが父に会った最後の日。

病院に着いたら、父はすでに半分意識がなかった。

でも父が目を開けた時、私をずっと見てくれていた。言葉は発せなかったけど私がいることはわかってるように思えた。

この日、父の手を久しぶりに握った。何十年ぶりだろう。

大きくなったお腹も触ってもらった。

病室を出る前に父の手を握りながら泣きながらお礼を言った、そして約束をした。

今まで育ててくれたお礼と元気な子供を無事に産む約束。

旦那さんも父の手を握りながら泣きながらお礼を言ってくれていた。父を想ってくれて嬉しかった。

父のお通夜とお葬式は、私は入院中で参列できなかった。まさかこんなことになるなんて夢にも思わず。

私がお見舞いに行った翌日に父は亡くなり、私は入院した。

父は夜に亡くなったらしい。

不思議だけど父が亡くなった夜、私は病室の窓から空を眺めていた。

そして、旦那さんと入院前に約束をしていた。

万が一、父が亡くなっても私には内緒にしていてほしい。

出産前に知ったら悲しくて出産を乗り越えられるか心配だったから。

私は父との約束を果たし、無事に元気な男の子を出産。

旦那さんは約束を守ってくれて、何も知らない私は出産して約1時間後に母にLINEした。

もちろん息子の生まれたての写真を添付した。私は間に合ったと思った、父に見せられると確信した。

LINEした直後に母に電話をすると父が亡くなった事実を聞いた。母はこの時言うつもりではなかったみたいだけど、母の様子がいつもと違ったから私が問い詰めた。

亡くなったと聞いても信じられず、この時涙はでてこなかった。

出産直後でまだベッドから起き上がってはいけないときで出産疲れもあったから、事実を受け入れられなかったのかも。

未だに父が亡くなったことは信じられない。

毎日父のことを思い出してしまう。

泣くと悲しくなるから泣きたくないのに49日過ぎてもたまに涙が出てしまう。

今は息子がいてくれるから、息子の笑顔でホント救われてるし自分も自然に笑顔になれる。

出産後は実家に帰っていたから、毎週末の法要に参列。

法要後は毎回母のオススメ店のお弁当を宅配してもらって、みんなで父の思い出話をした。

ある日父が使ってたパソコンを開いたら、亡くなる少し前の父の写真を見つけた。私の知らない父だった。

父の形見として、父の趣味だった釣り道具をもらった。

そして父がよく作ってくれたしょうがパウダーは、最後までありがたくいただこう。

お父さん、ありがとう。

これからは空から私たちを見守っていてね。