「ボーナス・トラック」 越谷オサム

　雨降る真夜中、草野哲也はひき逃げ事故に出くわした。
　雨に濡れたまま警察の事情聴取を受け、風邪をひいた草野の前にいたのは、事故で死んだはずの青年の姿だった……。

　オーバーワークな某大手ハンバーガーチェーンの正社員と幽霊になった大学生がコンビを組んでひき逃げ犯を追い求めるバディ小説。
　基本的に幽霊がメインキャラの話は覆水盆に返らずなので読んでいて辛いのですが、死んでしまった方が脳天気で楽天家なので救われますし、お涙ちょうだいで感動しろと強要するようなところもなく、気持ちよく読了。

「悲劇の主人公を気取るんじゃねえって」
　亮太は自分で自分にツッコむ。

　犯人捜しの話というより、さまざまな登場人物たちがそれぞれの居場所や役割を見つける話で、魂の救済話でもあり、ある種のお仕事小説としても読めないこともありません。
　ここがマグロナルド幡ヶ谷駅前店でなくて残念。

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