付け焼き刃の覚え書き

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「す~ぱ~アスパラガス」 立原あゆみ

2007-08-26 | 超能力・超人・サイボーグ
 ヤクザ漫画で天下を取ってしまった立原あゆみがまだ少女マンガを描いていた頃、SF好きの男子高校生たちはコミックの単行本を探してあちこちの書店を放浪していました。なにせ、連載マンガが単行本にならないことが珍しくもなんともなかった時代です。マイナーな少女マンガのコミックを探すのにどれだけ苦労したことか(書店注文は論外でした)。
 そんな放浪の末に集めたのが「ひとみ」(付録のついたローティーン向け雑誌)に連載していた『す~ぱ~アスパラガス』、1982年のことです。最終巻は本当に店頭に見当たらなかったんだ。

 星野ひろしの家の周囲に突如出現したアスパラガス畑。正体不明のアスパラガスをついうっかり口にしてしまったひろしの身体は、いつの間にか少女の肉体に変異していた。そして戸惑うひろしの前に現れたのは、機械じかけの謎の猫。その猫に導かれ、アスパラガス畑に立ったひろし/ひろこに、植物型の異星人が語りかけてきた。
 このアスパラガスこそ、母星を失った植物星人であり、彼らの敵が地球にも来ている。そのために君を少女の身体にしたのだと告げた。
 その言葉を裏付けるように、周囲で少年が殺される事件が相次いだ。
 この吸血異星人の侵略には、少女の身体に少年の心、少女の愛と少年の勇気を持った存在でなければ立ち向かえないのだ……。

 突然、宇宙から来た巨大アスパラガスに身体を女性化させられた少年が、少年の心と少女の心の間で揺れ動きながら、地球を侵略しようとする宇宙からの侵略者に立ち向かう話。そして後半は仲間が集まって戦隊物みたいになるけれど、メンバーの女性全員が性転換した少年というのがミソですね。セーラームーンかプリキュアかというシチュエーションで、メインキャラクターが全員女性化した元少年。ほとんど主人公たちを騙し討ちで戦いにかり出すネコのようなメッセンジャーなんて……。

 当時の少年マンガといえば「風魔の小次郎」「よろしくメカドック」「キャプテン翼」「3年奇面組」「コータローまかりとおる!」「あした天気になあれ」「Gu-Guガンモ」「はしれ走」「六三四の剣」「タッチ」「ふたり鷹」……。
 学園バトルかスポーツ根性もの、そしてギャグ。好きな作品は多いけれど、正統派のSFはほとんどありません。「コスモス・エンド」は短期だし、「ラブZ」はなんか違う。「どっきりドクター」なんかSFテイスト満点ですが、やはりコメディ寄り。
 ことSFやファンタジー作品に限っては、少女マンガの方にヒットする良作が目立った気がします。
 コミック2巻の表紙がフラゼッタの作品がモチーフというのも泣かせます。

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