「バスタード・ソードマン」 ジェームズ・リッチマン

「メリットとデメリットを比べるんじゃない。デメリットの総量を注視するんだ」
　それがモングレルの生き方だった。

　ハルペリア王国の地方都市レゴールでギルドマンをしているモングレルは、仲が悪いハルペリア人とサングレール人のハーフ。生まれた村はハルペリア王国とサングレール聖王国の国境近くにあって、モングレルが幼い頃の戦争で滅んで両親も死んでいる。
　そんなモングレルは実はスゴいギフトも持っているが、目立ってもろくなことはないとほどほどに戦って、ほどほどに遊び、上げられるランクも上げずに生きている。へたに名が売れて、敵対国家とのハーフが貴族の目に留まっても良いことはないのだ。
　彼は転生者でもあり、前世知識もあるにはあるのだが、表だってそれを利用することはない。子供の頃にリバーシを発明したら村長の息子に取り上げられ、その息子もいつの間にか不審死して、リバーシはどこかの貴族が発明したことになっていた。
　とにかく目立たず、のんびりギルドの仕事を適当に請け負って生きている……。

　中途半端な長さの剣、バスタードソードを愛用する中途半端なおっさんの日常譚。
　基本的にスタンピードや魔王の出現みたいな大事件は起きず、国家間の陰謀とか貴族の面倒ごとには巻き込まれないようスローライフしている、珍武器マニアなおっさんギルドマン日記です。ウェブ連載時には頭の方にあった「謎の発明家ケイオス卿」の章が消えていて、端折られたかと途中からウェブ版を読み直してましたが、位置が後ろの方に移動しただけでした。序盤はとにかくギルドマンの生活描写をメインに、ネタバレは後半にという再構成ですね。ウェブでいうと33話くらいまで。それと本文中では話だけだった「アルテミス」のオーガ退治のくだりを書き下ろしで追加しています。

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