付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「電話交感」 こがらし輪音

2024-01-13 | その他SF(スコシフシギとかも)
「タヱ、先生の言うことが全部正しいとは限らんし、正しければ何でも納得できるってもんでもねぇ。御国のために命を捧げるのが尊いことでも、親兄弟を失った悲しみが無くなるわけじゃねえし、正しさを盾に無神経なことを言っていいわけでもねぇ」
 横川タヱの父は、男に交じって軍人になりたいと戦争ごっこに明け暮れる娘に語って聞かせた。

 携帯大手子会社に勤める森戸紗菜は、連日のパワハラとクレームで弱り切っていたところで新型コロナに罹患して療養中。そんなとき、彼女のスマホにかかってきた間違い電話は、死んだ祖母からのものだった……。

 電話を通じて現在と過去がつながり、誰かと誰かの時間が交差する物語です。
 カジシン的なちょっと時間の流れが不思議な話だけど、どこか雰囲気違うなあと思っていたら、これ主人公自身の恋愛要素がほとんどないんですね。いちばん大きな要素は、家族の戦中戦後史。恋愛している相手とかはいてもとりあえず置いておいて、大事なのは人生において今自分は何をすべきなのか、仕事として自分に誇れるものか……そういうコロナ禍で迷子になっている自分の立ち位置を確認して自分自身を救う話なのです。

【電話交感~私とおばあちゃんの七日間の奇跡~】【こがらし輪音】【水元さきの】【角川文庫】【タイムパラレルストーリー】【コロナ禍に希望を見出す奇跡】【疎開】【ベンチャー企業】
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