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波羅門はジョアズ・バンベックにその問いは無意味だと指摘した。
辺境惑星エーリスは、おそらく人類最後の生き残りが住む星だ。しかし、そこもまた平穏ではない。爬虫類種族ベイシックの棲む遊星コラリンがいつまたエーリスに接近しないとも限らないからだ。彼らはベイシックの捕虜を家畜とし、交配していくことで阿修羅や金剛などさまざまな竜を生みだし、使役することでベイシックへの対抗手段としていたが、長く続く時の間にベイシックの存在そのものが疑問視されるようになっている。そして再びベイシックの襲撃が迫る中、人間たちはジョアズ・バンベックが領主のバンベック平と幸いの谷のカーコロの間で一触即発の危機に陥っていた。
襲い来るベーシックを竜の軍団で迎え撃とうとするジョアズたちだったが、人間たちが爬虫類の捕虜を交配して兵器としていたように、ベイシックたちも捕虜の人間を交配させて兵器として使役していた……。
中世レベルの領主同士の小競り合いだけれど、騎士とか武士ではなく調整された竜で戦う物語で宇宙船付き。佐藤史生の『夢みる惑星』の設定が、この作品にインスパイアされているように読めるのだけれど、ストーリーとしては『夢みる惑星』の方が好き。こちらも面白いけれど、竜がディスコミュニケーションの物語で、夢がコミュニケーションの物語という違いかな。
【竜を駆る種族】【ジャック・ヴァンス】【武部本一郎】【ハヤカワ文庫SF】
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