辞任を迫られむくれる
2018年5月9日
麻生副総裁・財務相が乱暴な言動が続いています。次官のセクハラや森友学園関連の文書改ざん事件の「責任をとれ」、「辞任せよ」の要求が高まり、「なぜ俺の責任なのだ」と不快なのでしょう。その気持ちに同情すべき点はあるにせよ、「セクハラ罪という罪はない」は八つ当たりですね。
麻生氏に同情するのは、「財務次官のセクハラ騒動」は次官の個人的行為であり、大臣の首を差し出していたら首はいくつあっても足りません。文書改ざんは、担当官僚(理財局)が首相官邸の示唆によるとみられ、発端は首相周辺にあると、麻生氏は信じているはずです。「だから俺に不名誉なことをやらせるな」と、思っていることでしょう。
問題は「セクハラという罪はない。殺人とか強制わいせつと違う」という発言です。確かに殺人罪、詐欺罪のように、刑法には「セクハラ罪」の規定はないでしょう。ただし、人事院規則に「セクハラ防止等の運用について」というよく整った法令があり、セクハラの具体例がたくさん列挙されています。
懲戒処分まで付す規定
人事院規則は公務員が従うべき就業規則であり、違反すれば懲戒処分に付す規定があります。フランスはセクハラ罪を刑事罰として規定し、「性的な暗示を含む言葉、または行為を繰り返し強いる」と定義し、違反すれば拘禁刑、罰金が課せられます。日本では公務員を対象とした人事院規則のほか、民間企業などをカバーする男女雇用機会均等法、労働契約法があります。
今回のテレビ朝日記者という社外の人に対するセクハラ騒動は、職場内で起きたわけでありません。取引先の事務所、取引相手と打ち合わせをする飲食店で起きるセクハラ問題にも、これらの法令、規則は適用されるとしています。
不思議なのはセクハラに言及する人たちが、こうした法令や規則にさっぱり触れないことです。次官の処分を決めた際の財務省の発表文は「テレ朝女性社員に対するセクハラはあったとの判断に至った」と断定しています。その根拠は「次官の行為が結果として行政の信頼を損ね、国会審議に混乱をもたらしていることを踏まえた」に置いていいます。関係法令と無縁の処分です。
メディアも怠慢、不勉強
ですから麻生氏の「セクハラ罪という罪は日本にはない」という発言につながるのでしょう。私はメディアも怠慢だと思います。麻生氏がそう発言したなら、「人事院規則でセクハラを禁止しており、違反があれば懲戒処分」という規定があるではないかと、メディアはなぜ追及しないのでしょうか。
麻生氏ににらまれるのが怖いのでしょうか。公文書の改ざん問題では、「どこの組織だってある個人問題だ」といってのけました。「個人の問題だから、俺の責任追及するな」の意味でしょうか。データの改ざんが多くの民間企業でも発覚しているのは確かです。だから「財務省だけ責めるのはけしからん」という気持ちなのでしょう。その民間企業では第三者の調査を行い、個人の問題とせず、厳しい処分を下しています。
人事院ものんびりしていますね。これだけセクハラ騒動が社会的に問題になっているのですから、人事院なり、あるいは記者なりが「人事院規則と今回の事件の関係」をなぜ説明したり、なぜ質問したりしないのでしょうか。「人事院は余計な口出しをするな」と、刺されるのを恐れているのでしょうか。
野田女性活躍担当相は、「セクハラの基準や再発防止策などを今国会中に整備する」と、発言しました。「セクハラという言葉はだれでも知っているが、実際にどういうことなのか」とも。罰則はないけれども、十分に分かるように、具体例まで挙げて、規則は整っているのです。こういう時だからこそ、日本にも「関係法令がすでにある」と、誰も声を上げないのでしょうか。
なかなかに鋭い指摘だと思いました。
私はこのような1対1の食事による取材が常態化している点がイケナイのだと思います。
マスコミは『取材です。接待ぢゃありません』と言うでしょうが、例えば警察官が接待を受けて取締り情報を漏らしたら大問題なワケでしょう?同じ国家公務員でも官僚なら許されるンですか?
このマスコミとの馴れ合い、それに官僚の感覚が麻痺していることの方が、セクハラよりもずっと重大な問題だと思うのですが、当然のようにマスコミからそういう報道は一切行われません。
再発防止は簡単です。
『マスコミから飲食を伴う取材を受けた官僚は戒告処分とする』という内規を各省庁が定めるダケでいいのです!
刑事罰が無いので、行政のルールで処分したって言ってるのですよ。
業務時間外の発言まで適用するなら、自治労の反政府活動も懲戒解雇だろ。