アイドルマスターシリーズの如月千早が、もし最初に入ったプロダクションが765でなく961プロだったら、という話。
961プロは主人公サイドが所属する765プロのライバルとして登場する。
原作的にも「金に物を言わせたレッスン・広報によって充実させたバックアップによって最高のアイドルを作る」ことを目的にしたライバルチームだが、社長である黒井祟男の苛烈な方針と冷酷な損切りによって人望に乏しく、ゲーム的には我那覇響・四条貴音が765に移籍(2でプレイアブルキャラ化)し星井美希も出戻りという状態になった。またアニメでも2から参加したJupiterが離反したりと、社長の執念によって人が離れるというなかなか報われないポジションの存在でもある。
一方”765プロの社長とは浅からぬ因縁がある”ことは表に出ている情報だが、メタとして「765で事務員をやっている音無小鳥はかつて黒井祟男プロデュースのアイドルだったものの挫折から引退してしまった」という推論があり、有力説でもあり物語的にもおいしいギミックでもあるのでよく使われる。このSSでもこのギミックは使われており、作中後半にその過去が語られることになる。
如月千早はアケマスの頃からの765のアイドルながら、おしゃべりする時間があるならレッスンしろと真顔で言うようなストイックさと相いれなさを併せ持った孤高の存在で、亡くなった弟のために歌を届けるという遠大な目的を持っていたものの、その過程にある目の前の人に歌を届けることを蔑ろにして挫折を味わうことにもなる存在だ。つまり黒井社長と千早はキャラクターが似ているのだ。
そうした親和性から割とあり得る話ともいえる「961プロの如月千早」という題材を、如月千早の成長を軸にしつつ、黒井社長の挫折経験からの復活をも絡めてカタルシスに持って行ったこのSSは感動的だった。
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