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第911話 ステイホーム週間は本を読もう(7)

2020年05月01日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。7冊目です。

「さぬきうどんの小麦粉の話―なぜおいしいのか・どうしたらもっとおいしく出来るのか」木下 敬三

この本は、書名の通り小麦粉について書かれています。「小麦粉の話」というなんとなくやさしそうなタイトルと、美味しそうなカバー写真から気軽に読めそうな感じがします。しかし、この本の実体は、あらゆる方面から小麦粉を科学した学術書と言って差し支えありません。小麦の品種や精製過程での化学的分析はもちろん、2万3千年前から始まる製粉の歴史の解説もあり、まさにこの1冊をマスターすれば、(素人レベルなら)堂々と「小麦粉博士」を名乗ることができます。

さて、学術書と言いましたが、論文調の硬い文章かといえば、そんなことはありません。あたかも著者が目の前で、読者にやさしく(しかし手抜きはせず)語りかけてくれるような文章になっています。たとえば、私たちは「このうどんはコシがあって良いね!」などと言います。その「コシ」とはなんでしょう。

「茹であげ直後のうどんは、中心部の水分が約50%あるのに対し、表面近くは80%になっています。この水分の差により、最初に噛んだときには、軟らかいけれど、内側は硬く、その差がうどんのコシとなって感じるわけです。別の言い方をすれば、軟らかいけれども噛み切ろうとすると力がいるうどん、と言うことになります。」(第6章 うどんの味の科学)

このように、全体を通して伝わってくるのは「うまいうどん」を作ることに対する著者の情熱です。とはいえ、ただ単純に「熱く」語っているのではなく、様々な視点から淡々と「おいしいっていうのは、こういうことです」と解説してくれるのです。

他にも良い小麦粉の選び方、打ち方、そして最高の品種「さぬきの夢2000」の話など、大変おもしろい本であることは間違いありません。もしあなたがうどん好きなら、読み終える頃には、うどん屋を開こうと思うことでしょう。

最後に、この本を手に取った理由をひとつ。

10年以上前のことですが、飯田橋の「悠讃」という、うどん屋さんでお昼を食べていた時のことです。あるお客さんが店主らしき人に「このうどん、ウマいね!」と声をかけました。すると店主(?)は「ありがとうございます!うちは香川県の木下製粉から粉を仕入れてますからねっ!」と、とても大きな声で答えていました。そのとき、私の大学時代の恩師・木下富夫先生が香川県坂出市のご出身で、弟さんが製粉会社をやっている、と聞いたことがあったのを思い出し、「!」ときました。先生に聞いてみると、まさにその通りでした。そして、先生の弟さん(木下敬三氏)が書いたこの本を読むに至ったわけです。本の内容が専門的で正確なのは、著者の経歴を見れば納得できます。

さぬきうどんの小麦粉の話―なぜおいしいのか・どうしたらもっとおいしく出来るのか

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