「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
部下にモチベーションを上げてもらうためには、どうすれば良いのか?これは、古くて新しい議論です。
一つには、部下に有能感を感じてもらうことがあります。有能感とは目標を達成することによって、部下に「やればできるんだ」という満足感を得てもらうことです。
そのためには、部下に適切な目標を与えることが大切です。目標が高すぎると達成できず、やる気が出てきません。一方で、目標が低すぎると達成は当然のこととなって、達成感、そして有能感はあまり得られません。
「何とか努力すれば達成可能な目標」を与えることが必要なのですが、部下にそうした目標を立てさせることは簡単なことではないようです。
先日弊社が担当させていただいた管理職研修では、はじめに部下が目標を立て、その後管理者が承認した目標を持参してもらいました。
その一例を挙げると、「ツールによる効率化をはかる」、「積極的にコミュニケーションをとり、進捗管理ができるようになる」といった目標が立てられていましたが、実はこの目標には具体的な中身がありません。
ためしに、これを記入した管理者に「効率化をはかるとは、具体的にはどのような状態を指していますか?具体的に時間をどれ位削減するのですか?」や、「コミュニケーションを積極的にとるとのことですが、進捗管理をするために具体的にどのようなコミュニケーションをとればよいのですか?」などの質問をしましたが、明確な答えは得られませんでした。
もちろん、具体的な行動計画を落とし込んだ目標を立てることは簡単なことでありません。その結果、精神論的な目標になったり、あいまいな表現を使用してしまったりし、結局はお茶を濁すような目標になってしまうことはよくあることです。
そもそもそ、私たちは子どもの頃から目標を立てることを促される経験はあっても、具体的な立て方を習ったことがある人は少ないのではないでしょうか?
それ故に、日常生活の中でも「食べるのを減らして痩せる」、「毎日早起きをする」などのあいまいな目標を立ててしまうようになるのかもしれません。
しかし、例えば「痩せる」という目標を立てるとして、それだけで本当に痩せることはできるのでしょうか?
実際には、まず「何時までに(納期)、何キロ減らす(定量化)。そのために食べる量を減らすのか、食べるものの種類を変更するのか、食べる時間を変えるのか、または食べる量は変えずに運動をしてエネルギーの消費量を増やすのか」など、目標を明確にすることが必要です。次にそれに向けてどのように行動するのかを具体的に決め、それを実行することではじめて目標達成が可能になるわけです。
さらには、具体的に目標を立て行動することで、後々に評価をする際に「どこが達成できたのか、どこが未達なのか」を一目瞭然で確認できますし、未達の場合にはその理由も明確になるので、今後の改善に向けた目標を立てる際の課題にできるのです。
このように目標を立てる場合、それが仕事での目標であればなおさら、定量化するなど数字ではっきりさせること。そして、それをどう実現するかを一緒に決めておかないと、達成はなかなか難しいのです。
部下のモチベーションがなかなか上がらない、目標が達成できないとお悩みの管理職の方には、まずは部下に目標はあいまいではなく具体的な数値にすることを教えるとともに、自らもそれをきちんと意識することからはじめることをお勧めいたします。