元代表 五郎丸さん キーワードは「36」と「12」
NHKの大会ナビゲーターを務める元日本代表の五郎丸歩さんは、今大会の日本代表について
「最後までよくがんばったし、力を出し切ったと思う。ラグビー以外のところでも本当にいい
メッセージを日本中に与えてくれた」とたたえました。
南アフリカ戦については、「相手は強かった。さすが優勝候補だと感じたし、日本は、本当にいろんな
ことを勉強させてもらった試合になった。日本の攻撃の強みを出させないように南アフリカは出足の
速い守備で試合をコントロールしていた」と振り返りました。
さらに五郎丸さんは、日本が初のベスト8進出と躍進したことについて、「36」と「12」という
2つの数字をキーワードにあげました。
五郎丸さんは、「『36』は、開幕戦のロシア戦でのキックの数。『12』は、1次リーグ最終戦の
スコットランド戦でのキックの数で、試合によって自分たちのアタックやディフェンスといった戦術を
柔軟に変えることができるようになったことが、前回大会からの4年間で大きく変わったところだと
感じた」と話しました。
そのうえで「次ももう1回、ベスト8に進むことを目標にして、試合の中でゲームプランを変えられる
ような対応力がついていければもっと成長できると思う」と話しました。
南アフリカHC「日本に深く感謝」
南アフリカのラジー・エラスムスヘッドコーチは「準決勝に進むことができてとてもうれしい。
前半は日本がすごくプレッシャーを与えてきて、ハーフタイムの時点では不安や緊張がすごくあった。
選手どうしがうまく話をして苦しい状況を抜け出してくれた」と試合を振り返りました。
そのうえで、ゲームプランについては「スクラムや密集での奪い合いなど、フィジカルで勝りたかった
ので控えのフォワードの選手を6人に増やして試合の最後の20分にフォワードがフレッシュな状態に
なるようにした。リザーブのメンバーが期待どおりの働きをしてくれた」と話し、一気にリードを
広げた後半のプレーに手応えを感じていました。
そして、会見の最後に「日本の国民の皆さんにぜひ言いたいのは、開催国としての日本のパフォーマンス
を誇りに思ってほしいということだ。日本のラグビーはすごくいい状態だし、対戦相手のわれわれにも
敬意をもって接してくれたことに深く感謝したい」とメッセージを送りました。
南アフリカのキャプテンでフランカーのシヤ・コリシ選手は、ハーフタイムでの選手どうしのやり
取りについて「とにかくお互いを信じようと話し合った。モールとスクラムはうまくいっているので
何も変える必要はないし、ボールを保持しようと伝えた。とにかくポジティブに話をした」と
明かしました。
そのうえで、自身のプレーに関しては、「疲れたら交代させるからとにかく前半からハードにプレー
しろと指示されていたのでとにかくハードにプレーした。後半、エネルギーに満ちた選手が交代で
入ってチームを助けてくれた」と話していました。
南アフリカのスタンドオフ、ハンドレ・ポラード選手は、3本のペナルティーゴールを決めるなど
両チーム最多の11点を挙げました。
ポラード選手は「前半からチャンスは作ったが点を取りきれない展開だったので、もう少し長く、
確実にボールをキープしようと考えた。自分たちがやってきたことを出せば大丈夫だと言い聞かせていた」
と振り返りました。
そして、日本については「この数週間ですばらしく成長し、信じられないほどだった。間違いなく
世界の強豪10チームの『ティア1』だ。この調子で成長すればさらに上のステージに進めると思う」
とたたえていました。
南アフリカで、前半途中から出場した世界最高峰のフッカー、マルコム・マークス選手は
「正直に言っててこずった試合だった。日本のディフェンスは壁のようだったし、よく計算されていた」
と振り返りました。
そして、日本への対策について「ボールを走らせるのがうまく、テクニックのあるチームなので、
なるべくキックを使いながらゆっくり試合運びをして自分たちのペースに持ってくるのがプランだった。
たくさんの準備と練習をしてきたので、勝利を勝ち取れてよかった」と話しました。
日本快進撃に海外メディア絶賛の嵐「夢は終わったが、日本の旅は素晴らしかった」
2019.10.20
THE ANSWER編集部
8強敗退も続々称賛「彼らはW杯で最もエキサイティングなラグビーを披露した」
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は20日、東京スタジアムで準々決勝が行われ、
日本と南アフリカが4強入りをかけて激突。過去2度の優勝を誇る強豪に対し、日本は健闘及ばず
3-26で敗れ、涙をのんだ。9月20日のロシアとの開幕戦からちょうど1か月後、“夢の30日間”に幕を
下ろしたが、勇敢な戦いぶりを海外メディアも称えている。
米スポーツ専門局「FOXスポーツ・ラグビー」公式ツイッターは「日本ラグビーのこれからは?
夢は終わったという者もいるが、これは始まりかもしれない」と日本の新時代の幕開けを予告した。
英放送局「ITVラグビー」公式ツイッターは「夢のような物語は終わったが、日本の旅は素晴らし
かった」と労った。「ITV」の本体アカウントでも「彼らはW杯で最もエキサイティングなラグビーを
披露した! 彼らは復活する」と称えた。
英紙「デイリーメール」のオリバー・ホルトツイッター記者は「日本以上に、このW杯で見るのが
楽しかったチームはない。彼らのスタイル、活力、冒険心は、ラグビーをより身近なものにした」と
絶賛した。
ニュージーランドメディア「ニュースハブ・スポーツ」のレポーター、アンドリュー・ゴーディー氏も
「ヘイ、SANZAAR! 日本代表をラグビーチャンピオンシップに加えるんだ!」とツイッターで訴えた。
快進撃こそ終わったが、その戦いぶりは世界の心を確かに打った。