EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

トランプ氏、ハリケーン被災地で現地の対応を賞賛 / ハリケーン「ハービー」、経済損失は数百億ドルに

2017-08-30 22:08:39 | 天災・地震・台風・豪雨・火山・大火災

トランプ氏、ハリケーン被災地で現地の対応を賞賛

2017 年 8 月 30 日 06:16 JST   THE WALL STREET JOURNAL    By  Michael C. Bender

テキサス州コーパスクリスティでハリケーン被害状況の説明を受けるトランプ氏 
 

 ドナルド・トランプ米大統領は29日、ハリケーン「ハービー」の上陸で大きな被害を受けたテキサス州を視察し、関係者の対応を

称賛した。テキサス州南東部では悪天候の中で救助活動が続いており、トランプ氏は連邦当局と自治体の関係者が「真のチーム」に

なったと述べた。


 トランプ氏はヒューストンから200マイル(約320キロ)南のメキシコ湾岸の都市コーパスクリスティに仮設された会議場で、

地元の当局者や非営利団体による救助活動の説明を受けた。救助活動について「これまでになく優れた対応をしたい」とし、

「5年後、10年後に手本として見られたい。これこそ為すべき方法だ」と述べた。


 米連邦緊急事態管理局(FEMA)のブロック・ロング局長はトランプ氏に対し、状況は依然として深刻で、住民を洪水から救助する

ことが引き続き優先だと伝えた。また、住民が避難しているヒューストンのコンベンションセンターは「スーパードームとは違う」と強調。

2005年にハリケーン「カトリーナ(カテゴリー5)」がニューオーリンズを襲った際、避難所として使われた施設が危険な状況に陥った

過去とは違うと指摘した。


 トランプ氏はロング局長に対し、ハリケーン襲来で同氏は「テレビで非常に有名」になったと述べ、FEMAと地元関係者の協力を

称えた。


 大統領を乗せた車列はコーパスクリスティの倒壊した木々や道路標識、傾いたフェンスの横を進んだ。トランプ氏はハリケーンに

ついて「誰もこれほどのものは目にしたことがない」と語った。

 閣僚や地元関係者の対応を高く評価する一方で祝福はしないとし、「全てが終わった時に互いを祝福し合うだろう」と述べた。

 

 

ハリケーン「ハービー」、経済損失は数百億ドルに

被害の拡大状況によって大幅に変化も

2017 年 8 月 29 日 12:15 JST    THE WALL STREET JOURNAL   By Josh Zumbrun

テキサス州アランサス港で沈んだ船
 

 米テキサス州湾岸部を直撃した大型ハリケーン「ハービー」は米国に経済損失をもたらすことになるが、具体的な被害額は洪水の

範囲が今後どの程度拡大するかに左右される。


 ハービーの直接的な脅威が去り、あふれた水が引いても、被災地では数百億ドルの物的損害に向き合わなければならないほか、

米国最大級の製油所の一部では生産が阻害され、数百万人の労働者の仕事にも支障が及ぶことになる。


 ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト、アダム・カミンズ氏は「損害はここ最近のどのハリケーンよりも、はるかに

大きくなる公算が大きい」と指摘。「最も深刻な洪水被害を受けている一部地域は住宅密集度が非常に高い。そのため、財産や

自動車の損害が非常に大きいと見込まれる」と述べた。

 

 また、湾岸部には大規模な製油施設が集中しているため、米国経済全般に影響が及ぶ可能性がある。

テキサス州コーパスクリスティとヒューストン、ルイジアナ州レイクチャールズの3カ所の製油所が米国の石油精製能力全体に占める

割合は約30%に上る。


 ムーディーズによると、1日当たり約200万バレルの製油能力(米国全体の約10%)が現在、稼働していない状態にある。

製油所がいつ再開できるかは、プラントや港が甚大な洪水被害に持ちこたえられるかどうかにかかっている。しかし、被災地以外の

地域の製油所が生産を拡大し、減少分を相殺できる可能性もある。


「カトリーナ」の損失は大幅に下回る

 28日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)では、ガソリン先物が前週末比7セント高の1ガロン=1.74ドルに上昇した。

ガソリン価格の上昇は消費者購買力を損なうことになるが、影響は一時的なものにとどまる公算が大きい。


 調査会社S&Pグローバル・プラッツ傘下の分析会社PIRAエナジーの国際石油担当マネージングディレクター、リック・ジョスウィック

氏によると、ガソリン価格は通常、大型暴風雨の被害から2週間以内に1ガロン当たり20~80セント上昇し、ピークに達することが

多い。そして大抵の場合、2~4週間で暴風雨前の水準か、それをやや下回る水準に戻るという。


 ジョスウィック氏は「ガソリン価格は今後2週間ほどで同程度に上昇し、ピークに達する見通しだ」と述べた。


 暴風雨で最も痛手が大きいのは保険会社と住宅などの資産所有者だ。ムーディーズの暫定試算によると、ハービーによる財産

被害額は300億~400億ドル(約3兆2600億~4兆3500億円)になる見通し。カミンズ氏は、こうした初期の推定値は被害の

拡大状況によって大幅に変わる可能性があると警告した。


 一方、米国立ハリケーンセンターの試算によると、2008年にテキサスとルイジアナ両州を襲ったハリケーン「アイク」と2005年に米南東部を直撃したハリケーン「リタ」の被害額はそれぞれ約290億ドルと120億ドル。2005年に米南東部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被害額は1000億ドルを超えており、ムーディーズの試算が正しければ、ハービーの被害額はそれを大幅に下回る見通しだ。また、2012年に米北東部を直撃したハリケーン「サンディ」の被害額は推定710億ドル。


復興特需でGDP拡大も

 ハービーの経済的影響のほとんどはヒューストン周辺に集中しそうだ。同地域は米国で4番目に大きい大都市経済圏で、約310万人の労働者が1年間の経済活動で生み出す付加価値は5000億ドルを超える。

 ヒューストンやその他テキサス州の住民がどのくらいの期間、店舗の閉鎖や職場の業務停止・立ち入り不能に対処しなければならないかはまだ不明だが、ムーディーズの試算によると、今後数週間の生産損失額は60~80億ドルになる見通し。これは、19兆ドルを超える米国内総生産(GDP)のごくわずかを占めるにすぎない。

 最大級の暴風雨でも通常、米経済全般に恒久的なダメージをもたらすことはない。これは、暴風雨によって建設ブームが誘発され、数万人が清掃や復興業務に雇用されることが一因だ。経済成長の指標となるGDPには財産被害は計上されないが、復興活動で生み出される付加価値は計上されるため、暴風雨後のGDPは拡大することがある。

 他の経済指標は向こう数週間は影響を受ける可能性がある。過去のハービー級の暴風雨では、最初の数週間は失業保険の申請件数が増加することがあった。例えば、カトリーナの発生後には、失業保険の申請件数が1週間当たり10万件も増加したが、その水準は長くは続かなかった。

  JPモルガン ・チェースのエコノミスト、マイケル・フェローリとダニエル・シルバーの両氏はメモで、停電の影響が現れる工業生産統計のほか、個人消費統計にはハービーの影響が現れる可能性があると述べた。

 時間給労働者にとっては、所得の損失が大きくなる可能性がある。労働省のデータによると、被災地に認定されたテキサス州の郡では約400万人を雇用しており、その四半期の賃金総額は約580億ドル、週当たり約45億ドルに上る。