危機におけるベストな通貨 円がリスト入り
米経済の失速や世界的景気後退が起きた場合、円やスイスフラン、シンガポール・ドルなど先進国の安定した通貨を
購入して途上国の通貨を手放すべきだ。ブルームバーグがJPモルガン・チェースの分析として伝えた。
上記の3国は非常に安定したポジションを持ち、投資家らは景気後退期、自らのポートフォリオにこれら通貨を
保有すべきだとアナリストのポール・メギエシ氏は指摘する。
JPモルガン・チェースは、円はリスクヘッジのために最も安上がりな通貨で、シンガポールドルはその意味では
最も魅力が少ないツールとなると伝える。
米ドルは世界の標準通貨として恩恵を受ける立場であり続け、景気後退時に各国の企業や銀行がレバレッジ解消を
行う際に米ドルを買い戻す必要がある。
途上国の通貨は逆に景気後退に特に敏感で、平均的に危機の開始から2年間で17%の値下がりとなる。
リセッション(景気後退)近いと思えば円とドル、スイス通貨保有を-JPモルガン
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現時点でリセッションについて話すのは「時期尚早」とアナリストら
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過去5回のリセッションの分析でNZドルがG10通貨で最悪の成績
米国あるいは世界経済のリセッション(景気後退)が迫っていると仮定した場合、スイス・フランと
シンガポール・ドル、米ドル、日本円を保有し、新興市場国通貨を手放すべき時だとJPモルガン・チェースの
アナリストらが指摘した。
JPモルガンの為替戦略担当マネジングディレクター、ポール・メギエシ氏などのアナリストらは6日付の
リポートで、「リセッション時は、債権者が自己資金を手元に取り戻すことを要求する。リセッションの際に保有すべき
通貨ベスト4のうち3つは、対外ポジションが極めて強い国の通貨だ」との見解を示した。
JPモルガンのチームによれば、実質実効為替レートが40年平均を23%下回っている円は、リセッションの
ヘッジ手段として最も割安で、シンガポール・ドルは最も魅力が乏しい。リセッションの際に銀行や企業が
レバレッジ解消に動けば、米国以外の国は米ドルを買い戻す必要があり、調達通貨の世界標準である米ドルは
恩恵を受けるとストラテジストらは分析した。貿易摩擦がエスカレートする状況で、米ドルは最近数カ月
良好なパフォーマンスとなっている。
同行のチームは、実際には現時点でリセッションについて話すのは「時期尚早」だとしながらも、貿易摩擦が
さらに激化する可能性がある中で、緊急時の対応策を再検討することが賢明だとしている。
JPモルガンが過去5回のリセッションの通貨パフォーマンスを分析したところでは、平均7-8%下げた
ニュージーランド・ドルが、G10通貨で最悪の成績となった。
原題:JPMorgan Maps Out Currencies to Buy If a Recession Is Coming(抜粋)