ベネズエラ、経済破綻が引き起こした湖の原油汚染、人々の暮らし脅かす 。
【12月28日 AFP】ベネズエラ北西部にある広大なマラカイボ湖(Lake Maracaibo)は、製油所のような
臭いがする。経済破綻で油井とパイプラインが捨て置かれ、自国が埋蔵する原油に汚染されているのだ。
マラカイボ湖は、面積1万3200平方キロで、カリブ海(Caribbean Sea)に続いている。
だが、その広大な湖面は「とどまることなく押し寄せる黒い液体」で覆われている。
マラカイボ湖は現在、湖の動植物だけでなく、湖に生息する野生動物に依存する人々の暮らしに
とっても危険な状態となっている。
漁師のヒヨバニー・ビジャレアル(Giovanny Villarreal)さんは、日々取れる水産物の多くは無駄に
なっていると言う。
「取れた量の半分は原油の臭いがする。誰も買わないから湖に戻している」と、ビジャレアルさんは
カニの入った容器を見せて語った。
原油に汚染されたカニ。ベネズエラ北西部にあるマラカイボ湖のほとりのカビマスで(2019年6月13日撮影)
湖の東岸のカビマス(Cabimas)にあるビジャレアルさんの家は、洪水による被害を避けるため、
支柱の上に建てられている。だが、一家にとって、問題は他にもある。
「時々、ガスの臭いで眠れないことがある」とビジャレアルさんは言う。「ガスは私たちの肺、
ことに子どもの体内に入る」
ベネズエラの1日の石油生産量は、10年前には320万バレルだったが、現在は100万バレルにも
満たない。
ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)は、数千キロにおよぶ水中ケーブルとパイプラインを維持する
資金力がない。経済学者で石油業界に詳しいオルランド・オチョア(Orlando Ochoa)氏は
「インフラが劣化し、汚染が深刻化している」と指摘した。
同国の科学研究所の生物学者ユラシ・ブリセノ(Yurasi Briceno)氏は、マラカイボ湖北部の
動物相を研究している。ブリセノ氏は「八つの油井のうち、三つは昨年10月から絶えず原油を
垂れ流している」「私たち人間は食物連鎖の終わりにいる。湖の中のカニやエビを食べることで、
私たちも毒されている」
ベネズエラ北西部にある原油で汚染されたマラカイボ湖。カビマスで(2019年6月13日撮影)
ベネズエラ北西部にあるマラカイボ湖から飛び立とうとする油の付着した鳥。カビマスで(2019年6月13日撮影)