追われるアフリカ出身者、感染対策で忌避感 中国・広州市
2020.04.12 Sun posted at 18:15 JST CNN
香港(CNN) 中国南部の広州市に住むアフリカ諸国出身者が新型コロナウイルス対策に
絡めて家主から撤去を求められたりホテル利用を拒まれたりするなどの苦境に直面して
いる。
背景には中国政府が海外からの入国者の新型コロナウイルス感染を警戒した措置を打ち
出し、外国人を嫌う風潮の広がりがある。ソーシャルメディアでは広州市でホームレス
状態にあるアフリカ出身者の苦難が広範に伝わっている。
広州市でCNNの取材に応じた24人以上のアフリカ出身者の多数は居住先を失う
境遇などを告白。発症の兆候もなく感染者との接触もない中で新型コロナの無作為の
検査対象になったり、自宅で14日間の隔離を強いられたりした体験も打ち明けた。
中国の新華社通信によると、習近平(シーチンピン)国家主席は先週、他国から入り
込んだ感染事例への注視を当局に指示。これが海外に根差す感染のいわゆる第2波に
関する地元メディアの報道を広める結果ともなった。
海外経由での感染への懸念に根拠がないわけでもない。広州市に近い香港では感染の
第2波が起きた。3月に入った時点での感染者は150人で拡散は緩和したとの見方も
あった。だが、現在は990人に増加し、多くは海外に原因があった。
ただ、中国外務省幹部は先月26日、海外から入国した感染者数の9割は中国の旅券
保持者だったことも認めた。
この中で広州市にある米国領事館は11日、アフリカ系(黒人)米国人に対し同市への
渡航を避けるよう警告。外国人への監視が高まっているとし、地元警察はバーや
レストランにアフリカ系とみられる客の入店の拒否を命じたともした。地元の一部企業や
ホテルがアフリカ系米国人との商談を断ったとの事例も報告した。
広州市で黒人の大量感染 路頭を彷徨う黒人たち
これに対してアフリカ諸国から抗議
アフリカ各国は抗議を強めている。ナイジェリア政府やアフリカ連合(AU)などが
中国大使を呼び出して懸念を表明した。米政府も「中国で暮らすアフリカ出身者が不当な
扱いを受けている」と非難した。
中国、広州でのアフリカ人差別への抗議に反論
2020年4月14日 / 10:31 / REUTERS
中国外務省の趙立堅報道官・・・「ウイルスは米軍が中国に持ってきた」言った報道官。しばらく姿を見せていなかった。
[北京 13日 ロイター] - 中国外務省の趙立堅報道官は13日、アフリカの国々や
米国の外交官が、広東省広州市でアフリカ系の人たちが新型コロナウイルスの検査や
隔離を強要されるなど差別的な扱いを受けていると訴えていることに反論した。
同報道官は定例の記者ブリーフィングで「中国ではアフリカの仲間たちに対する
差別はない」と断言。米国がこの問題を悪用し、中国とアフリカ諸国の関係悪化を狙っていると主張した。
複数のアフリカの国の駐北京大使は中国の王毅国務委員兼外相に宛てた書簡で、
広州市でアフリカ人が真夜中にホテルから追い出されたり、パスポートを押収されたり、
ビザ(査証)の取り消しや強制送還、逮捕の脅しを受ける事例が続出していると指摘。
その後、広州の米総領事館も米市民に注意喚起する文書を出し、広州当局が、バーや
レストランに対し、アフリカ系の人たちに給仕しないよう命じ、アフリカ人との接触者に
新型コロナ検査と自主隔離を強制的に実施しているとして、アフリカ系米国人に広州の
都市圏から離れるよう促した。
趙報道官は、中国は全ての外国人を平等に扱っていると強調。「米国が対立の火種を
作っているのは無責任で不道徳な行為だ」と述べ、「中国とアフリカの間に亀裂を
生じさせる取り組みは決して成功しない」とした。
米国務省の当局者らは13日も中国人による「排外主義」を批判。オルタガス報道官は
「中国当局は同国に暮らし、留学するアフリカ人の虐待をやめるべきだ」とツイッター上
で訴えた。
中国では入国者の新型コロナ感染確認が相次いでいるが、大半が海外から帰国する
中国人となっている。