こちらは面白い話の一例です。有名な心理学者であるアブラハム・マズローが、自分の研究のために猿を飼っていたことがあります。ある日、研究のために猿を箱に入れたところ、猿は箱の中に入ったまま出てこなくなりました。
マズローは、猿が箱から出られるはずなのになぜ出てこないのかと不思議に思いました。そこで、猿の行動を観察してみると、猿は箱の天井に釘でとめられた紐を引っ張っていたことがわかりました。猿が紐を引っ張ると、箱の蓋が開いて出られるようになっていたのです。
しかし、猿は紐を引っ張っても蓋が開かないことを知りませんでした。なぜなら、紐が引っ張られると同時に、床下に仕掛けられた電気ショックが猿に与えられていたからです。猿はショックを避けるために、箱の中でいつまでも紐を引っ張っていたのです。
このエピソードは「学習された無力感」と呼ばれ、過去の経験から学んだ方法が、新しい状況下では役に立たない場合があることを示しています。また、習慣的な行動が時として人々を不幸にすることも示しています。