レイのお出かけ日記

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イーヴォポゴレリチ ピアノリサイタル サントリーホール

2012-05-13 23:05:31 | 音楽関係
2012年5月9日サントリーホール。
理由はとくにありませんが・・
今回のポゴレリチのリサイタルは、何故か「良い予感」がしていたんですよ。

開演前のホールに入ると、ニット帽を被りラフな服装のポゴレリチが、
ステージのピアノでリハーサルをしていました。
これってスゴイことなんだと思います。
曲目までは解りませんでしたが、探り弾きのように弾いていまして・・・
リハーサルというより迎賓の演奏?
ピリピリとした感じもなく、和やかな雰囲気の客席。
ホントにびっくり!彼に一体、どんな心境の変化があったのでしょうか。
私もそうでしたが「あの人、本物?」なんて驚いている観客が何人もいました。

開演時間の10分程前に演奏を止め(着替えなければいけないしね・・)
照明が落ち、暫らくして燕尾服姿のポゴレリチの登場です。

今回のプログラムは
ショパン  ピアノソナタ第2番 変ロ短調
リスト   メフィストワルツ 第1番
ショパン  ノクターン ハ短調
リスト   ピアノソナタ ロ短調

ポゴレリチの演奏の良さは
「まるでピアノが生きているような演奏」というところでしょうか。
他の演奏家のものとはまったく「別モノ」なんですよね。

「この曲、そんな意図もあったんだ、そんな表現があったんだ」
楽曲の内声と外声の響かせ方、タイム感が独特であるけど解りやすい。
ピアノのペダル使った後の響きや、ホール全体にまわるピアノの残響音も・・
全て「演奏の内」としているところも好きです。

リサイタル終了後、帰宅してからもどうしても演奏が気になり、
後日、今回のプログラムにあったショパンのピアノソナタ第2番変ロ短調の楽譜を出して、
「この楽曲のどこにあの旋律が隠されていたんだ?」と、
自分なりに分析してみたり・・かなり勉強になりました。楽しいです。

ここ数年のポゴレリチは、とても難解な解釈の演奏で、
聴いてて苦しくなってくる演奏が続いていたんです。
もちろん、それはそれで大変素晴らしい演奏ではありましたが、
今回は本当に聴いていてとても楽しい演奏でした。


1996年秋の来日時にもリサイタルを観ましたが、
その年の初めに不幸があり、精神的打撃を受けたていポゴレリチが、
長身で華奢な体で具合悪そうにヨタヨタとステージに登場した時は・・
一瞬、不安になりましたが、不安を吹き飛ばすような良い演奏を披露してくれました。
ショパンのスケルツォ2番がとくに素敵だったことを覚えています。
この時の演奏は後日、専門誌等のレビューで酷評されてたようですが、
私は好かったと思います。初ポゴレリチでした。
今回の演奏は、その時以来の衝撃的な演奏でした。


今後も愉しみです。