*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から何度かに分けて紹介します。28回目の紹介
現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!
「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」
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(カスタマーレビュー)から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)
読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。
そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。
「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。
この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。
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★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり
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【原発ホワイトアウト】第14章 エネルギー基本計画の罠 ※28回目の紹介
-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第14章 エネルギー基本計画の罠」 を紹介-
【登場人物】
小島 厳 日本電力連盟常務理事 関東電力総務部長を経て日本電力連盟に出向
日村 直史 経済産業省資源エネルギー庁次長
赤沢 浩一 保守党資源・エネルギー戦略調査会長
山野 一郎 保守党一匹狼議員
前回の話:【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※27回目の紹介
資源エネルギー庁長官は、こう熱弁をふるう。
「我が国がフクシマの事故を起こしたからといって、地球温暖化防止の国際的な責任が軽減されるわけではありません。したがって石炭、石油、天然ガス、そしてシェールガスも含めた化石燃料への依存度は、2020年までに温室効果ガスの対1990年比25パーセント削減という民自党内閣時代の目標をどのように設定し直すか次第ではありますが、いずれにせよ、かなりの程度低減させていかざるをえません。
仮に、保守党政権が政権交代前に設定した15パーセント削減ということであれば、徹底した省エネルギーを前提として、残りを原子力、または太陽光や風力等の再生可能エネルギーで補うことになります」
温室効果ガスの削減を所与の条件とすれば、省エネか、温室効果ガスを排出しない原子力か、再生可能エネルギーか、との三者択一となる。ここで再生可能エネルギーは不安定で当てにならない、という判断を加えて選択肢から除外するならば、1990年代以降、温室効果ガスを理由に原発を推進したロジックとまったく同一になる。
既に参院選前から、政権は、国民の根強い原子力に対する反発に配慮し、将来の原子力の比率を改正エネルギー基本計画には明示することは難しい、という見解を示していた。明示しないということは、アンチ原発派に対しては原発ゼロの可能性もゼロではないと言いうるし、原発推進派に対しては原発大増設の可能性があると言いうる、ということだ。相手に応じていかようにでも言い逃れできる計画にする、ということ・・・。
「私どもといたしましては、電気事業の小売りの自由化を通じまして、国民の皆様が電源を選択する自由を確保することにより、再生可能エネルギーの普及が国民の希望であるのであれば、それを実現できる環境を整備いたします」
そう資源エネルギー庁長官は続ける。
一見、国民の希望を叶えるというもっともな政策のように聞こえる。しかし、これには裏がある。
小売の自由化で、再生可能エネルギーを売る小売事業者の電気の供給が不安定で高い価格であれば、再生可能エネルギーを選択しない国民が大多数となる。その場合には、次のステップとして「再生可能エネルギーを多くの国民は選択しませんでした。その結果、原発の増設が必要になりました」という政策に持っていけることになる。
説明が終わるや否や、間髪を入れずに、保守党のなかではやや異色の、原子力に懐疑的なことで著名な山野一郎議員が手を挙げた。テレビなどで国民的には人気があり、選挙も滅法強いが、党内では一匹狼である。
「電力の小売の自由化はたいへん結構なことだと思います。が、電力の小売の自由化を実現した場合に、現在講じている再生可能エネルギーの固定価格買取制度はどうなるのでしょうか?固定価格買取制度のおかげで、わが国でも続々とメガソーラーや風力発電所が建設されています。発送電分離がなされるまでは現在の電力会社は固定価格買取制度を続けることを、この場で約束してください」
※「第14章 エネルギー基本計画の罠」は、8/3~ 紹介中です。
・・・既得権益側が国会議員を使って行政に圧力をかけ・・国民に見えないところで、こうしたことが当たり前に行われている・・・
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