中学生の頃、初めて買ったバッハのレコードは、カール・リヒターの「ブランデンブルグ協奏曲」でした。それ以来、カール・リヒターは、グレン・グールドと共に私のお気に入りの演奏家です。長い間、レコードの解説の中に納められた写真でしか彼の姿を見たことがありませんでしたが、DVDを買って初めて彼の動く姿を見たときはとても感動しました。想像したとおり、壊れたロボットのような動きの少ない地味な指揮振りで、自身のパフォーマンスよりも正確さを重視している様子に大変好感を持ちました。リヒターは全盛期を過ぎたあたりから、旧バッハ全集に基づいた演奏解釈や、現代楽器を用いたスタイルが時代遅れであると指摘されて悩んでいたという話ですが、古楽器による演奏が主流の現在、逆に彼のような現代楽器による演奏には新鮮な印象があります。
新聞でカール・リヒターの死亡記事を読んでから、来年の2月15日で30年となります。時間が経過するのは早いものです。
お気に入りの曲、ミサ曲ロ単調から
J.S. Bach - Et Resurrexit by Karl Richter (Mass In B Minor)
J.S. Bach - Et Expecto Resurrectionem by Karl Richter (Mass In B Minor)
この曲は、カンタータ第120番第2曲のパロディとなっています。