ロシアW杯アジア最終予選、2試合を終えて1勝1敗、ここにきてナンバー誌が臨時増刊の形で「日本代表に世代交代を!」と訴える提言を出しました。
果たしてハリルホジッチ監督は世代交代を図るのか、残念なことに、もはや残された時間がありません。打つ手が当たれば出場権獲得、打つ手を間違えば出場権喪失、そういう二者択一の段階に来ています。
「ハリルジャパンの世代交代、果たして図られるのか・・・。」と題して、ハリルホジッチ監督の選択を読み解くシリーズの3回目です。今回のテーマは現在のレギュラー陣にとってかわるべきと期待される「プラチナ世代」についてです。
私は8月14日の書き込み「昨夜のフジテレビ『栄光なき天才たち』はいい番組でしたね。」の中で、1976年生まれの中田英寿氏を筆頭に、宮本恒靖氏、故・松田直樹氏、戸田和幸氏の世代のこと、そして、1979年組の小野伸二選手、稲本潤一選手、高原直泰選手、遠藤保仁選手、中田浩二氏、小笠原満男選手、本山雅志氏の世代のことを書きました。
この2つの世代、実は中田英寿選手の世代には財前宣之選手、小野伸二選手の世代には、まさに小野選手という「飛びぬけた天才」がいたことによって、周りが引っ張られるようにレベルをあげていき、その後の日本代表の中核をなす人材が揃ったという特別な世代のことです。
今回のナンバー誌もそうですが、財前選手や小野伸二選手のような「ある世代やあるチームの中心的選手」のことをイタリア語の「バンディエラ」(旗頭)と呼ぶようです。
「プラチナ世代」のバンディエラが宇佐美貴史選手だということです。彼らが今後、フル代表の中核に何人も名を連ねれば、日本サッカー史には、前の2つの世代に加え、傑出した選手のもと花開いた3つの世代として記録され記憶されることでしょう。
「プラチナ世代」のバンディエラ、宇佐美貴史選手、8月14日の書き込みでの私の表現は「飛びぬけた天才」ですが、宇佐美選手についてもそう思います。
彼のゴール前左45度あたりからのシュートは決してパワフルには見えないのですが、極めて誤差の少ない、それでいてムチをしならせるようなシュートで、彼の天才性を垣間見ることができます。
そこに磨きをかければ、まさに釜本邦茂の再来、狙ったら必ず仕留める決定力を持った選手になれそうな気がします。私はぜひそうなって欲しいと痛切に願っています。宇佐美選手については、2015年1月24日の書き込みで「宇佐美貴史選手が本田圭祐選手のように心の強いスーパーな選手に」というタイトルで願望と期待を寄せています。
しかし、宇佐美選手をはじめ、彼らのほとんどは指揮官に「ぜひ使ってみたい」と思わせる強烈なインパクトを残せておらず、スタメンに定着している選手がいない現状です。
そういう彼らに対して南アW杯組は「ギラギラしたものが表に出ないタイプが多い」と、もどかしくしているようです。
このまま彼らは、単なる「早熟世代」で終ってしまうのか、私は決してそうは思っていません。いずれ彼らが代表の中核に何人も名を連ねる時が来ると思っています。ただ、問題はその時期です。この1年、いやこの半年の中でインパクトを指揮官に与えて欲しいのです。
特に欧州サッカーシーンがウィンターブレークに入るまでの3ケ月半、宇佐美、宮市、武藤、小林祐希、彼らには何としても目にみえる成長を遂げて欲しいものです。
国内組の柴崎岳、昌司源両選手も同様です。少なくとも彼らの中から3人は、年明けからの最終予選再開時に現在のスタメン組にとってかわって欲しいのです。
私は1979年組のいわゆる「ゴールデンエイジ」世代(小野伸二、稲本潤一、高原直泰各選手ら)も、あまりギラギラ感のない育ちのよさを思わせる世代だったと思っています。ところが彼らは1999年ワールドユースで準優勝に輝いた成果をひっさげて、時の監督だったトルシエに一斉に五輪代表にひきあげられたのです。
いわぱ文句のつけようのないインパクトを残して次のステージに進んだわけです。前年のフランスW杯で、すでに小野伸二選手がW杯のピッチに立っていますから、もはや未知数でも何でもない計算できる戦力です。
それに比べて宇佐美貴史選手をはじめとした「プラチナ世代」は、2012年ロンドン五輪メンバーには若すぎて、リオ五輪メンバーにはオーバーエイジとなってしまう巡り合わせの悪さがあります。
それでも、中田英寿選手の世代がアトランタ五輪メンバーで最年少だった中、中田選手と故・松田直樹選手の二人がレギュラークラスだったことを思えば、「プラチナ世代」の選手たちが、五輪の巡り合わせの犠牲者などと言えた義理ではなく、ただ単に伸び悩んでいることは否めません。
もう一つ、小野伸二選手の世代も中田英寿選手の世代も「注目の世代」と言われ始めたのがU-17世界選手権出場あたりからで「プラチナ世代」のようにU-13やU-15世代からもてはやされたのではないということも考えなければなりません。
もしかすると評価があまりにも早すぎたのではないかということです。もし彼らのうち多くが埋没してしまうとすれば、それは早すぎた評価、いいかえれば「買いかぶりすぎた」ということになります。
あるいは、彼らは来年には間に合わないかも知れないけれど、2019年アジアカップあたりがキャリアのピークになることから、そのあたりで一斉に花開くのかも知れません。
だからといって、南アW杯レギュラー組の下の世代である清武弘嗣選手、山口蛍選手、酒井宏樹選手、酒井高徳選手、原口元気選手、さらには今回呼ばれていない齊藤学選手、大迫勇也選手を加えても足りません。「プラチナ世代」をすっ飛ばして遠藤航選手、大島僚太選手、植田直道選手、浅野琢磨選手に頼るようではあまりにも寂しいとしかいいようがありません。
「プラチナ世代」には、ハリル監督にアピールして、ごく自然にスタメンで使いたいと思わせて欲しいと願うばかりです。ロシアW杯出場権の帰趨は、ひとえに彼らの今後3ケ月半にかかっていると言っても過言ではありません。繰り返しますが、もはや残された時間がありません。
ところで、最後に補足ですが、さきほど、1998年フランスW杯に「ゴールデンエイジ」のバンディエラ(旗頭)である小野伸二選手が出場したことを書きました。
それについて私は、さる8月20日の「通訳・ダバディ氏のトルシエジャパンにまつわる発言から」の書き込みで、「小野伸二選手がメンバー入りしたのは、岡田監督が日本人だからで、将来を見据えて選考しています。トルシエ監督のような外国人監督には『将来を見据えて』などということは期待できません」と書きました。
ところが今回ナンバー誌で、「岡田武史・私は何故、本田を抜擢したのか」という二宮寿朗氏のレポートを読みましたら「小野伸二選手をメンバーに入れたのは、次世代の中心になるであろう小野に大舞台を経験させたいという思いはあったのですか?」との質問に対して、
「経験も実績もない41歳の監督に、そんな余裕なんてないよ。(中略)もしヒデ(中田英寿)がケガをしてしまったらこのチームは攻撃ができなくなる。その場合、伸二の天才性に賭けるしかなかった。将来がどうとかじゃなくて・・・・」と答えています。
まさか岡田監督の小野伸二選出が「一発賭けるなら伸二しかいない」という結論によるものだったとは思いませんでした。私はもちろんですが、多くのサッカージャーナリストもこれを読んで「将来を見据えて」論の修正を迫られたことと思います。
果たしてハリルホジッチ監督は世代交代を図るのか、残念なことに、もはや残された時間がありません。打つ手が当たれば出場権獲得、打つ手を間違えば出場権喪失、そういう二者択一の段階に来ています。
「ハリルジャパンの世代交代、果たして図られるのか・・・。」と題して、ハリルホジッチ監督の選択を読み解くシリーズの3回目です。今回のテーマは現在のレギュラー陣にとってかわるべきと期待される「プラチナ世代」についてです。
私は8月14日の書き込み「昨夜のフジテレビ『栄光なき天才たち』はいい番組でしたね。」の中で、1976年生まれの中田英寿氏を筆頭に、宮本恒靖氏、故・松田直樹氏、戸田和幸氏の世代のこと、そして、1979年組の小野伸二選手、稲本潤一選手、高原直泰選手、遠藤保仁選手、中田浩二氏、小笠原満男選手、本山雅志氏の世代のことを書きました。
この2つの世代、実は中田英寿選手の世代には財前宣之選手、小野伸二選手の世代には、まさに小野選手という「飛びぬけた天才」がいたことによって、周りが引っ張られるようにレベルをあげていき、その後の日本代表の中核をなす人材が揃ったという特別な世代のことです。
今回のナンバー誌もそうですが、財前選手や小野伸二選手のような「ある世代やあるチームの中心的選手」のことをイタリア語の「バンディエラ」(旗頭)と呼ぶようです。
「プラチナ世代」のバンディエラが宇佐美貴史選手だということです。彼らが今後、フル代表の中核に何人も名を連ねれば、日本サッカー史には、前の2つの世代に加え、傑出した選手のもと花開いた3つの世代として記録され記憶されることでしょう。
「プラチナ世代」のバンディエラ、宇佐美貴史選手、8月14日の書き込みでの私の表現は「飛びぬけた天才」ですが、宇佐美選手についてもそう思います。
彼のゴール前左45度あたりからのシュートは決してパワフルには見えないのですが、極めて誤差の少ない、それでいてムチをしならせるようなシュートで、彼の天才性を垣間見ることができます。
そこに磨きをかければ、まさに釜本邦茂の再来、狙ったら必ず仕留める決定力を持った選手になれそうな気がします。私はぜひそうなって欲しいと痛切に願っています。宇佐美選手については、2015年1月24日の書き込みで「宇佐美貴史選手が本田圭祐選手のように心の強いスーパーな選手に」というタイトルで願望と期待を寄せています。
しかし、宇佐美選手をはじめ、彼らのほとんどは指揮官に「ぜひ使ってみたい」と思わせる強烈なインパクトを残せておらず、スタメンに定着している選手がいない現状です。
そういう彼らに対して南アW杯組は「ギラギラしたものが表に出ないタイプが多い」と、もどかしくしているようです。
このまま彼らは、単なる「早熟世代」で終ってしまうのか、私は決してそうは思っていません。いずれ彼らが代表の中核に何人も名を連ねる時が来ると思っています。ただ、問題はその時期です。この1年、いやこの半年の中でインパクトを指揮官に与えて欲しいのです。
特に欧州サッカーシーンがウィンターブレークに入るまでの3ケ月半、宇佐美、宮市、武藤、小林祐希、彼らには何としても目にみえる成長を遂げて欲しいものです。
国内組の柴崎岳、昌司源両選手も同様です。少なくとも彼らの中から3人は、年明けからの最終予選再開時に現在のスタメン組にとってかわって欲しいのです。
私は1979年組のいわゆる「ゴールデンエイジ」世代(小野伸二、稲本潤一、高原直泰各選手ら)も、あまりギラギラ感のない育ちのよさを思わせる世代だったと思っています。ところが彼らは1999年ワールドユースで準優勝に輝いた成果をひっさげて、時の監督だったトルシエに一斉に五輪代表にひきあげられたのです。
いわぱ文句のつけようのないインパクトを残して次のステージに進んだわけです。前年のフランスW杯で、すでに小野伸二選手がW杯のピッチに立っていますから、もはや未知数でも何でもない計算できる戦力です。
それに比べて宇佐美貴史選手をはじめとした「プラチナ世代」は、2012年ロンドン五輪メンバーには若すぎて、リオ五輪メンバーにはオーバーエイジとなってしまう巡り合わせの悪さがあります。
それでも、中田英寿選手の世代がアトランタ五輪メンバーで最年少だった中、中田選手と故・松田直樹選手の二人がレギュラークラスだったことを思えば、「プラチナ世代」の選手たちが、五輪の巡り合わせの犠牲者などと言えた義理ではなく、ただ単に伸び悩んでいることは否めません。
もう一つ、小野伸二選手の世代も中田英寿選手の世代も「注目の世代」と言われ始めたのがU-17世界選手権出場あたりからで「プラチナ世代」のようにU-13やU-15世代からもてはやされたのではないということも考えなければなりません。
もしかすると評価があまりにも早すぎたのではないかということです。もし彼らのうち多くが埋没してしまうとすれば、それは早すぎた評価、いいかえれば「買いかぶりすぎた」ということになります。
あるいは、彼らは来年には間に合わないかも知れないけれど、2019年アジアカップあたりがキャリアのピークになることから、そのあたりで一斉に花開くのかも知れません。
だからといって、南アW杯レギュラー組の下の世代である清武弘嗣選手、山口蛍選手、酒井宏樹選手、酒井高徳選手、原口元気選手、さらには今回呼ばれていない齊藤学選手、大迫勇也選手を加えても足りません。「プラチナ世代」をすっ飛ばして遠藤航選手、大島僚太選手、植田直道選手、浅野琢磨選手に頼るようではあまりにも寂しいとしかいいようがありません。
「プラチナ世代」には、ハリル監督にアピールして、ごく自然にスタメンで使いたいと思わせて欲しいと願うばかりです。ロシアW杯出場権の帰趨は、ひとえに彼らの今後3ケ月半にかかっていると言っても過言ではありません。繰り返しますが、もはや残された時間がありません。
ところで、最後に補足ですが、さきほど、1998年フランスW杯に「ゴールデンエイジ」のバンディエラ(旗頭)である小野伸二選手が出場したことを書きました。
それについて私は、さる8月20日の「通訳・ダバディ氏のトルシエジャパンにまつわる発言から」の書き込みで、「小野伸二選手がメンバー入りしたのは、岡田監督が日本人だからで、将来を見据えて選考しています。トルシエ監督のような外国人監督には『将来を見据えて』などということは期待できません」と書きました。
ところが今回ナンバー誌で、「岡田武史・私は何故、本田を抜擢したのか」という二宮寿朗氏のレポートを読みましたら「小野伸二選手をメンバーに入れたのは、次世代の中心になるであろう小野に大舞台を経験させたいという思いはあったのですか?」との質問に対して、
「経験も実績もない41歳の監督に、そんな余裕なんてないよ。(中略)もしヒデ(中田英寿)がケガをしてしまったらこのチームは攻撃ができなくなる。その場合、伸二の天才性に賭けるしかなかった。将来がどうとかじゃなくて・・・・」と答えています。
まさか岡田監督の小野伸二選出が「一発賭けるなら伸二しかいない」という結論によるものだったとは思いませんでした。私はもちろんですが、多くのサッカージャーナリストもこれを読んで「将来を見据えて」論の修正を迫られたことと思います。