夫が慢性腎臓病になってから、二人で外食することはめったになくなった。
ひとりで行くこともあまりない。
姪たちがこちらにいる時には、つきあってもらって、夫抜きのメンバーで食事を外でしてくることがあるくらいだった。
高校時代や、大学時代の友人や、パート仲間と食事とか集まりに行くこともすっかり減って、面倒になってきたのも加齢のせいかもしれない。
今日は珍しく、街に出ることにして、前日から決めていた。
神奈川県藤沢市の辻堂駅に直結した「テラスモール湘南」というショッピングモールだ。
7月に姪と行った映画館が入っていて、姪が熱心に見ていた 「LOFT」と「H&M」に 今日はひとりで私も行って、店内を見て歩いた。
高校生の姪が LOFTで いくつか買った中に、オーデコロンがあった。
私の家にその包装の箱を置いていったので、それを買ってみようかと思って、その売り場に行ってみた。
その商品には、テスターがなかった。
オーデコロンの棚には いったいどれにしたらいいだろうと、選ぶのに困るくらいの多種類のコロンを置いていた。
「やっぱり石鹸のかおりがいいな」
テスターを腕に吹き付けて、いくつかの中から選んで買った。
オーデコロンと言うよりは、ヘアー&ボディミストとある。
部屋の芳香スプレーや、布用のファブリーズのような類のものは買うが、香水のようなものを自分で買うというのはあまり経験がない。
最近の若いお嬢さんは、こういうものを着けるものなのね、と、独身の若いころでも私は買わなかったなぁ、と思ったが、欲しくなったのだ。
それから、H&Mでは、店内の洋服を見て手に取り、鏡に映してみた。
最近の洋服は、すべてネット通販のベルメゾンで購入していたので、こんなふうに服を選ぶことを楽しむなんてずいぶんなかったな、と思った。
長袖の薄手のジャージー素材のワンピースが手ごろな価格であったので、それにした。
聞いてはいたが、H&Mは、低価格でセンスのいいものを売っている。
服を買うには、電車に乗らないとオシャレなお店は近所にはない。
今日も、バスと私鉄とJRを乗り継いできたのだ。
服を見る、選ぶ、鏡に映す、気に入る、レジに行く、包んでもらう、受け取る、着る日を想像してみる・・・・
なんと刺激的な動詞が並ぶではないか、精神的にすごくいい気がする。
こういうことから、離れていると、どんどん老いていくように思う。
買物が済んだところで、フードコートへ行く。
平日の昼前で、席はガラガラだ。
お店を選んで、中華にした。
レディースセットを注文した。
料理の完成を知らせる無線のベルが鳴り、お料理を受け取って、座りやすそうな椅子のところへ移動して、ひとりで食べた。
ひとりで来たのだから、ひとりで食べるのはあたりまえだ。
そばには、ひとりで来た人がすわった。
美味しかった。
私の留守中に、郵便局の配達が来て、頼んであった古本がダンボール箱で届いたと、夫からメールが来ていた。
その話は後日書くことにする。
昼食が終わって、食品でも買って帰ろうかと思って、トレイを下げにいった。
美味しそうなパン屋さんや、和菓子、ケーキのショウウインドウを覗き込んだが、高いし、見ているだけで、ごちそうさまと言う気分になってきて、結局家に持ち帰る食品は買わなかった。
ドーナツショップで、きなこのドーナツとホットコーヒーでゆったりとして、もう、店を見るのはいいや、と このあとは、帰ることにした。
帰りも、乗継よく12:43の自宅近くの私鉄駅発の循環バスに乗ってはやばやと帰宅した。
自宅に着くと、夫が
「ずいぶん、早かったね」
と驚いていた。
こんなふうに過ごす日があってもいいような気がする、60歳だけど
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