「…ちゃん、…ちゃんを泣かせちゃだめじゃないの。」
私は相手の男の子を名指しして、従姉妹を苛めて泣かせたのだと決め付けるとその顔を睨みつけました。
それに対して、彼は呆気に取られて目を丸く見開くと、泣いている従姉妹と私の顔を黙って交互に見比べていましたが、「嘘泣きだよ嘘泣き。」と言うと、「誰が原因でこうなったと思っているんだ」と、小さな声でしたが聞こえよがしに、少し彼の顔をこちらから背けるようにすると彼の側面、下方向へと言葉を吐き出しました。
それから彼は私達の方へ向き直ると真顔になり、誰に言うでも無く感嘆した声で言いました。
「白けるなぁ。」
へえぇ、何時もこんななんだ、何だかなぁと、ぽそぽそ上の空で呟くように零していましたが、従姉妹の方がそれに対して微笑し、同意するように会釈する物ですから、てっきり2人は喧嘩していると思っていた私には、この2人のやり取りが何だか不思議思な光景に映るのでした。
私は事はどうやら事無きを得たのだと感じながら、それでも従姉妹の為に彼に念を押しておかなければと決意すると言いました。
「乱暴な事しちゃだ駄目!、男の子が女の子を泣かせるなんて、駄目じゃないの!。」
続けてこんな時の決め言葉、「女の子を男の子が泣かせるなんて、」「悪いんだぁ!」も当然付け加えました。続けてそれはとてもいけない事だと、私は近所の伯母の何時もの仕草を見よう見まねで、物事がよく理解出来ていない子だと、彼の顔を覗き込みながら噛んで含めるように言葉を掛けました。それは従姉妹が彼女の兄や出先で出会った悪戯小僧に泣かされた時、彼女の母である伯母がする仕草でした。今春、私はこのお手本を2、3日前に見聞したばかりでした。
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