私は彼女の言わんとする所が直ぐには飲み込めなかった。が、今の会話の内、彼女の最初の言葉に「がめつい」という言葉があったという事に思い当たると、お前というのは私のことなのだから、祖母は私ががめついと言ったのだ、という事にすぐ考えが及んだ。すると、それは酷いんじゃないかなと感じた。私は眉間に皺を寄せて一応憤慨した。私にしてみると、単純に祖母である彼女を喜ばせようとしただけなのだ。
そうやって、祖母に一応の不快感を表しながら私は尚も考えていた。祖母が口にした事、私に取って計り知れない事柄。女性が持つ大金に付いてだ。全く私が未知の分野のこの世の出来事。一体それは如何いった類のお金なのだろうか?。
祖母は家事以外で、今はその家事も私の母が大半を担っているけれど、さして仕事もしていない様子だ。その祖母が如何やって大金を稼いだのだろう。お金を得るからには彼女はそれなりの仕事をしている筈だ。私の考えはそうだった。
祖母には仕事が無さそうなのに、大金が有るというのだ。彼女所有のお金が有る事自体、私には不思議な事柄だった。私はそういった事実について、これから私の質問する言葉に返答するだろう彼女の件に大いに興味があった。大枚を持つと放言する女性の、ほんの些細な仕草に迄も大いなる関心があった。私は自身の心眼で確りと目の前の女性を捉えようとしていた。
「お祖母ちゃん、どうやってお金を稼いだの?。」
ほれほれ、それごらん、これだからね。祖母は口元から笑みと言葉を漏らした。金儲けの秘訣を、誰でも、どの子でも、聞きたがるんだよ。ほくそ笑むような笑みを口元に湛え、彼女の目には穏やかな光が宿った。そうして孫の私を慈しむような瞳で見つめると、彼女は前掛けの前で手を組み直した。
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